
- 渡邉 征男
- 佐倉ウェルネス歯科医院 理事長 院長
- 千葉県
- 歯科医師
対象:一般歯科・歯の治療
- 赤岩 経大
- (歯科医師)
- 赤岩 経大
- (歯科医師)
セカンドオピニオンでマイクロエンド歯科に遠方からいらした患者さんのレントゲンです。左の大きい歯の根の先の部分が黒く抜けている像が認められると思います。(専門的には透過像と呼びます)
右下の8番目の歯(親知らず)にブリッジが入っていますが腫れていて手前の歯肉にフィステルと呼ばれるおできのようなモノができていて、膿みが出てきているケースです。かかりつけ歯科医院では切開して様子を診ましょうと言われたそうですが、私でしたら違う処置を行うことをご説明しました。
ここで基本的に考えなくてはならないことがいくつかあります。「なぜ腫れているのか?」ですね。
考えられるのは
1.根尖性歯周炎(根の先端部の炎症)
2.歯根破折(歯根が折れてしまっていること)
3.辺縁性歯周炎(歯の周りの歯肉の炎症いわゆる歯周病)と想像されます。
そうすると上記3つの疑いが強いのでまずは3つのうちのどれかを診断する必要があると思います。感染の原因をとらなければ当然また炎症は起きます。つまり切開しただけでは歯の内部の感染は取れませんし、破折しているかどうかをよく吟味して除外診断をしなければ意味がない処置をしてしまう可能性が高くなります。
私なら、やむを得ないのですがブリッジを除去して8番目の歯をマイクロスコープ(顕微鏡)で診査します。完全に折れていれば抜歯をお勧め致します。折れていなければ根管治療(根の治療)を行い保存を試みます。その後は再度ブリッジで治療するか?インプラントで治療するか?取り外しの入れ歯(部分床義歯)で治療するか?を選択していただくことになります。ただし、ブリッジを壊して全てやり直すには治療費や治療期間もかかるわけですので患者さんとよく相談して対応を決めなくてはなりません。患者さんがブリッジを壊しても良いと言っていただけないと私の提案する治療はできないわけですので。
今回のように歯科医師によって診査診断やその治療方針は変わる場合があります。現時点ではどちらが正しいかは確定できませんが、少なくともレントゲン上で白い薬が上手く入っていませんので根管治療が適正にされているとは思えません。よって明らかに症状があったりして問題ならば再治療をすべきでしょう。ただ、非常に難しいケースだと思いますが。
このような事例は医科の方でもあると思います。歯科医師も人間ですのですべて完璧とはいきませんが歯科医師も研修や経験、設備によりどのように診断するか多少は変動するものです。
あまり疑っても良くないのですが、きちんと説明を受けて納得する必要はあるかもしれません。また、戻れない処置に関して納得できない場合はセカンドオピニオンを受けるのも意味があると思います。もちろんセカンドオピニオンを受ける医療機関の質やコスト、時間などもありますので一概には何とも言えないのですが。
私は1本の歯を大事に考えていただきたいと思っています。
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