中国側が新幹線技術は中国製と強弁する理由と背景(第7回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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中国側が新幹線技術は中国製と強弁する理由と背景(第7回)

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中国側が新幹線技術は中国製と強弁する理由と背景(第7回)

河野特許事務所 2011年12月15日 執筆者:弁理士  河野 英仁

(月刊ザ・ローヤーズ 2011年9月号掲載)

 

4.中国企業の重要特許

 中国企業が出願、権利化している4つの特許の詳細を以下に説明する。最初の2つは列車制御に関する技術であり、残り2件はブレーキに関する技術である。

(1)列車制御センターシステムプラットホーム

 上述した北京全路通信信号研究設計による出願であり、湖北省武漢市―広東省広州市を結ぶ武広高速鉄道に用いられている。この技術は主に、“二乗二取二(double two out of two)”の冗長技術を用いるものである。“二乗二取二”は鉄道関係の技術に広く応用されている技術であり、安全性及び信頼性を高めるものである。

 二乗二はシステムの安定性と信頼性に重きを置き、二取二はシステムの安全性と安定性に重きを置く。コマンド段階の同期とタスク段階の同期とをとる。システムプラットホームは多階層の安全防護措置を採用しており、全ての安全出力は2つの独立した非相関のソフトウェア及びハードウェアシステムにより共同で確定する。コマンドは出力前に比較が行われ、誤りを検出した場合、出力が停止される。出力後もさらに検査が行われ、誤出力の発生を防止するものである(参考図10参照)。

参考図10 列車制御センターシステムプラットホーム主要図

 

(2)同じく北京全路通信信号研究設計が応用した発明特許“コンピュータ冗長システム”を紹介する。本特許は既に国家知識産権局により特許(CN101149695)が付与されている。この発明はコンピュータ冗長システムであり、2つの中央処理ボードと,少なくとも一つの外設ボードを含み,各中央処理ボード上には2つのCPUが実装される。また、各外設ボード上にも2つのCPUが実装され、これらのCPUは共にそれぞれが有するバストランシーバーに接続され、各バストランシーバーを相互に接続することによって、通信回路を構成し、これにより冗長を達成するものである。

 これにより、一つの中央処理ボードに故障が発生した場合でも,外設ボードは依然としてデータ交換を続行することができ、かつ、自身の機能を実現することができる(参考図11参照)。 

参考図11

 

(第8回へ続く)

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