敷地は近世城下町の面影を遺す間口三間の町家の街割。地域に分散する事業所の拠点となるオフィスであり、その顔としての機能が建築に求められた。
建築の特長として「通り庭」と名付けた吹抜けが奥行き方向に縦貫する。天窓から入る光が通り庭を満たし、白い壁にバウンドして各室を柔らかく照らす。また天窓の換気窓が上昇する熱気を効果的に屋外に排出する。
各室は通り庭に面するよう上下階に配した。通り庭と各室は、マリオン柱によりスムーズな曲面のボリュームに分節される。その形状は、平面的には各室の所用面積により生じる凸凹を曲線で近似することで求められ、鉛直方向は吹抜面積をコントロールするために傾斜している。結果、通り庭はダイナミックな曲面に包まれ、その膨らみは社内外の人々の自発的交流を場となる。
外壁は、黒塀通りという街区復元プロジェクトに因んで黒色の不燃木、マリオン柱は地場産杉を用い地域文化と風土に馴染むよう心がけた。
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