兄弟間で不動産売買します。さて、税務上問題のない売買価額は? - 相続税 - 専門家プロファイル

近江 清秀
近江清秀公認会計士税理士事務所 税理士 公認会計士
税理士

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:遺産相続

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

兄弟間で不動産売買します。さて、税務上問題のない売買価額は?

- good

  1. 人生・ライフスタイル
  2. 遺産相続
  3. 相続税
相続税

兄弟間で不動産売買します。さて、税務上問題のない売買価額は?

【法人と個人の税金対策に役立つ神戸の税理士のメルマガ】

《事例》
XとY(兄弟)は、いずれも父親からの相続により多額の現預金と
貸家等を取得していました。 XとYが将来の生活設計を考えるに当たって
兄弟間で不動産の売買をすることになりました。

売買対象となる物件Aは、Y所有の築年数の浅い賃貸アパートです。
この物件Aの通常の取引価格は1億円ですが、路線価による相続税評価額は8000万円でした。
XとYは、話し合いの結果物件AをYからXに8000万円で売却することにしました。

この場合、通常の取引価格は1億円ですが8000万円で売買することについて
税務上の問題はありませんか?

《回答と解説》
結論から申し上げますと、問題ありません。

まず、個人間の対価を伴う不動産売買については通常の取引価額に相当する金額によって
評価するという内容の個別通達が公表されています(いわゆる負担付贈与通達)

次に、相続税法7条では、「みなし贈与」を定めています。
つまり、一般的な取引価格よりも「著しく低い価額」で売買する場合、
買主側は、「著しく低い価額」で買い取ることができたことにより
通常の取引価額と「著しく低い買取価額」との差額について経済的な利益を受けることになります。

つまり、YからXへの売却価額が「著しく低い価額」でなければ税務上問題ないということになります。
ここで、「著しく低い価額」とは、その価額に経済合理性がないことが明らかな場合を
言うと考えられています。

今回の事例では、売買価額を通常の取引価額ではなく路線価に基づく相続税評価額
としています。

そもそも相続税や贈与税の課税対象となる財産(不動産)の評価は、財産評価基本通達
に基づくと定められています。これは、個々の財産の客観的交換価値の評価は困難なので
課税の公平と事務処理の簡便のために定められています。

また、上記財産評価基本通達による相続税評価額は、地価公示価格の概ね80%とされています。
そのため相続税評価額と同水準かそれ以上の価額で売買が行われた場合に
経済合理性のないことが明らかとは、いい難いと考えられています。

以上より、XYの兄弟間で相続税評価額に基づいて不動産売買を行っても
贈与税が課税されるリスクは無いと考えられます

ただし、実際の不動産売買に当たっては個別具体的に検討すべき課題を
税の専門家と十分に検討する必要があります。ご注意ください。


このメルマガの記事が役に立ったと思う方は下記facebookpageにアクセスして、

http://www.facebook.com/kobesouzoku/ 「いいね」をクリックしてください。

△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
東日本大震災関連の税務情報のUP DATE

● 更新情報

 岩手県、宮城県、福島県の3県の一部の地域に納税地を有する法人の皆様への申告書等用紙の発送再開に係るお知らせ」を追加しました(平成23年8月8日)
  http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/hojin/index_2.htm

 「東日本大震災に係る国税の申告・納税等の期限延長に係る一部の地域における期日の指定について」を更新しました(平成23年8月5日)
  http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/hisai/kijitsu_shitei0805.htm

 「平成23年分の所得税の予定納税について(東日本大震災関連)」を更新しました(平成23年8月5日)
  http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h23/jishin/yoteinouzei.htm

 期限の延長が、具体的に公表されていますので上記URLでご確認ください。

○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○●○
下記の内容については、私の事務所HPのトップページに
記載がありますので、興味のある方はご確認ください

http://www.marlconsulting2.com/

⇒『相続税の1時間無料相談始めました』
 下記のALLABOUTのURLをご覧ください
 http://profile.ne.jp/pf/oumi/s/s-2016/

⇒『やさしい税務会計ニュース』
  生命保険契約等に基づく一時金に係る一時所得の計算上、控除することができる保険料又は掛金について、
  事業者又は法人の所得の計算上必要経費又は損金の額に算入されるもののうち、
  使用人の給与にしなかった部分(つまり、会社経費として処理しながらも、使用人の給与にしなかった分)は、
  含めることができない改正が、なされました。その内容について簡単に解説しています


⇒『経理総務担当者のための今月のお仕事のカレンダー』

   経理総務担当者様が毎月実施すべき業務をカレンダーでご案内
  しています。ご確認ください。9月のお仕事カレンダーです

⇒『会話形式で楽しく学ぶ税務基礎講座』
 
  今月は、「海外の遺産や所得は、日本で課税されますか?」というテーマです
  是非ご覧ください

⇒『旬の特集』

  中小企業を取り巻く経営環境は3月の東日本大震災によって、
 再び先行きが不透明になっています。また、節電などによる生産活動への制約など、
 直接震災の被害を受けていない企業にも影響を及んでいます。
 こうした厳しい状況の中、中小企業は何が必要だと感じているのでしょうか。
 ここでは7月に公開された2011年版の中小企業白書から、
 中小企業が考える今後の取り組むべきことをご紹介します。

□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
【神戸の税理士が毎週配信している法人税・所得税・
 相続税に関する、最新情報と節税に役立つメルマガ】

 近江清秀公認会計士税理士事務所のURL
  http://www.marlconsulting2.com/
  近江清秀公認会計士税理士事務所(相続税専門HP)
 http://www.kobesouzoku.com/
 ALLABOUT PROFILEのURL
 http://profile.ne.jp/pf/oumi
 近江清秀公認会計士税理士事務所(相続税部門FBP)
  http://www.facebook.com/kobesouzoku/
  マイベストプロ神戸のページ
 http://mbp-kobe.com/kobe-souzoku/
  DREAM GATE アドバイザーのページ
  http://profile.dreamgate.gr.jp/consul/pro/oumi
  神戸の税理士 近江清秀のBLOG
 http://marlconsulting.typepad.jp/
 M&Aのご相談は、信頼と実績の桜橋監査法人
 http://www.sakurabashi-grp.com/
 中央三井信託銀行のリバースモーゲージのHP
 http://www.chuomitsui.co.jp/person/p_03/p_03_re.html
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
【編集後記】
このメルマガの記事が役に立ったと思う方は下記facebookpageにアクセスして、

http://www.facebook.com/kobesouzoku/ 

「いいね」をクリックしてください。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
 STUDIO TOKYO.COMのHP
 http://studio-tokyo.com/

このコラムに類似したコラム

池本・酒井『裁判例からみる相続税・贈与税』、7 村田 英幸 - 弁護士(2012/10/18 09:18)

賃貸アパートの贈与に係る負担付贈与通達の適用関係 近江 清秀 - 税理士(2011/06/12 12:12)

【専門家監修】ベンナビ相続(相続弁護士ナビ)「生前贈与」記事掲載 水野 崇 - 1級FP技能士 / CFP / 宅地建物取引士(2023/10/15 11:50)