- 前田 勇介
- スモールメディア 代表
- 東京都
- ITコンサルタント
対象:Webマーケティング
- 森 美明
- (Webデザイナー)
- 和久井 海十
- (ITコンサルタント)
前回の続きです。まだ「店舗集客とSNS-4グルーポン系を賢く使う3つのポイント(前編)」をお読み出ない方はそちらを先にお読み下さい。
前回フラッシュマーケティング業界の概況に触れましたが、ここからはこの状況を踏まえて、お店で有効にフラッシュマーケティングを利用するポイントをご説明します。
ポイント1.集客力は十分か
フラッシュマーケティング事業者がどれだけ自社サービスの会員を集めているか?
私が調べた190社の傾向を分類すると、事業者を3つのグループに分けることできます。
(1)豊富にチケットが回っている
(2)それなりに生き残っている
(3)死に体
(1)(2)と(3)の間にはある大きな違いがあることを発見しました。
それは、マスメディアあるいはそれに準ずる広告媒体を使って会員の集客を行っているかどうか、です。
一番いいのはTVコマーシャル、そして新聞、Yahoo!トップページクラスへのバナー広告でしょう。
このくらいのレベルで広告を打っているところ以外は、ほぼ(3)死に体に回っています。
これらのメディアへの出稿は多額な資金が必要なので、上場企業が多いことも特徴として挙げられます。
もしくは地域のTV局・新聞社自体(あるいは子会社)が運営しているので、有利な条件でメディアを使える事業者も含まれます。
ともかく、ここが有用なサービスを提供しているかどうかのひとつのボーダーラインになりそうです。
また、自腹を切って集客プロモーションを行っているかどうかもひとつのポイントでしょう。
リクルートのフラッシュマーケティング、ポンパレではマックカード500円分が100円や、クオカード1,000円が100円と言ったチケットを出して、新規会員を集めています。差額分は完全にリクルート社の持ち出しなので会員獲得の費用として相当な金額を使っているということなります。(なんらかのバーターが働いて、額面ほどの出費は無いのかも知れませんが・・・)
広告にしてもプロモーションにしてかなりな投資です。
これらを回収するまでの間は赤字の期間がかなり続くと思われるので、それなりに体力が無ければできません。にもかかわらず、リクルート社があえてそのような戦略をとっているのには、それなりに理由があるのでしょう。
それだけの投資を必要とする理由が。
つまり、この事業を成功させるには、集客のための先行投資を大規模に行う必要があるという仮設が推測ができるのです。
【見極めポイント】集客にマスメディア広告や新規会員獲得プロモーションなどの多額の投資をしているか?
ポイント2.キャパシティを超えないこと
お店のキャパシティを超えたチケット数を設定すると、「おせち」のような問題が最悪の場合起きます。
また、別の例で、しばらく前にニュースにもなったので、ご存知の方もいらっしゃるかも知れませんが、ある大阪の美容室がグルーポン・ジャパンを提訴しました。
簡単にまとめると、
1)クーポンを大量に販売しすぎ
↓
2)対応能力を超えてクーポン客が殺到
↓
3)美容師の増員など行い対応
↓
4)そもそも料金設定が採算度外だったので数百万円の赤字
という事件です。
詳しくは下記をご覧ください。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110628/crm11062801300001-n1.htm
推測で付け加えるなら、おそらく、この期間は通常のお客様の予約が非常に取りにくくなり、離反を起こしていたであろうと考えられます。
実はこのニュースが報道された当時のネットの反応は、「お店が設定を間違えただけで、自己責任なんじゃないか?」という意見が多かったように思います。
もし、自己責任論が本当であれば、逆に言えば、自己防衛する手段がある・・・とも言えます。
つまり広告主はチケットの販売数を適正にコントロールする必要があるということです。
赤字のお客さんでいっぱいになり、上客が離れいく・・・
このような事態を避けるには、リピート客のキャパシティを確保しつつ、新規の対応ができる最大限の数を決めておく必要があります。
そして、「最大数」はあくまで上限なのでそれを使い切る必要は無いことを忘れないようにしましょう。
「チケットは最大で100枚販売できる→だから今回で100枚全部売る」必要は全くありません。
別に50枚だって10枚だっていいじゃないですか、完全成果報酬で出稿するだけならタダであれば。
最初は少なめで様子を見て、上手く行ったら次は枚数を増やせばいいだけのことです。
逆にもし上手くいかなった場合、今度は金額なりサービス内容なりのやり方を変える必要があります。
そのときに、最大数のチケットを販売してしまっていたら、ダメージもまた最大限なわけですから、成功パターンが見つかるまではチケット数は絞り込むべきでしょう。
もちろん、営業マンは数を多く捌かないと売上が上がらないので、少しでも販売数を増やそうとなんだかんだ言ってくるでしょう。
しかし、そこは押しに負けず、キャパを見極めて適正な販売数を設定しましょう。
小さく始めて大きく育てるのが肝要かと。
ポイント3.リピーター化の戦略を持って臨むこと
ただ質の高いサービス提供すれば、また来てくれるだろう・・・という考えならクーポンはおススメできません。
クーポンで来店するお客様はこの値段だから来てくれるのです。
5,000円のお客様はあくまで5,000円のお客様なので、次回から10,000円と言われてもまず来ないでしょう。
価格戦略で取り込んだ新規客はやはり価格戦略を軸に囲い込むのがセオリーです。
つまり、初回の金額設定するときには2回目・3回目の料金・内容もセットで考えておかなかければなりません。
あらかじめ、初回・2回目以降と整合性の取れる料金を決める必要があり、「あとは2倍になるけど定価でいい」とか「あとの金額はまたその時に考える」ではリピーター化は望めないでしょう。
初回の特別料金を決めるときには、すでにどうやってリピーター化するか、内容と金額が決まっていなければならないのです。
営業は料金を下げればチケットが捌けるので、基本的に割引率を高く設定したがりますが、そんなことは、別にあなたにとってどうでもいいことです。
戦略に沿わない低価格で売れたところで、リピートに繋がらなければ、「安い客がたくさん来た」だけで終る話です。
それはあなたが求めている結果でしょうか?
また、価格以外にもメールアドレスを確実に取得しておくことや、紹介割引制度などを用意しておくことも忘れないようにしましょう。
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