■日本人のトラディッショナル感覚
トラディッショナル、直訳するならば、伝統的とか、旧式のとかいう意味です。
日本の伝統と言うと明治以前、となりますが、トラディッショナルというと、
もう少し気取った洋風、中世〜近代の英国様式でしょう。
日本では西洋文化が入ってきて、文化に馴染む頃、つまりは明治〜大正の
古き良き時代のニュアンスで表現されると思います。
■古き良き時代のステンドグラスデザイン
さて、古き良き時代のステンドグラスデザインと言えば、アールヌーヴォー、アールデコに含まれますが、植物をモチーフとしたもの、英国のサー(貴族)の紋章をモチーフとした、格式を備えるものが多く見られます。
先ほど明治〜大正と申しましたが、文化に浸透したのは遅く、大正中期の洋館から昭和戦後のカフェなどに多く見られます。
私はこの辺をトラディッショナルと表現しています。
■「コレよ、コレ!」
さて、前置きが長くなりましたが、写真は先週完成した個人住宅のステンドグラスです。
お客様は国会議事堂のステンドグラスをみて「コレよ、コレ!」と仰っていたのが印象的でした。
玄関を開けたら、目の前に豪華なステンドグラスというイメージ。
色々な工房を廻り、やっと松本ステンドに辿り着いたそうです。
国会議事堂のステンドグラスは横幅5m×高さ2.5mでこのデザインを表現していますが、
今回の注文は横幅49cm×高さ1m。
空間の明るさも異なるため、透き通る明る目の色を採用し、作成したデザインは十数パターンに。
取り付けの日、なんと朝から赤飯を炊いて、今か今かと楽しみに待ち望んでいらっしゃいました。
オーダーメイドの本質って、お互いの気持ちなんです。