日本の伝統文化でもある「茶室」は、約420年前にそれまでの日本の建築とはまったく異なる空間として出現しました。 それは、壁に囲まれた閉鎖的な空間です。 日本の建築は、簡単に言えば壁のない建築で、柱と柱の間に障子や襖が入り、それら建具を開けたり、取り払ったりすると開放される構造でした。
写真は、八ヶ岳の麓に設計した小間(4畳半以下の広さ)の茶室です。 恵まれた自然環境との共生を意識し、平天井と掛込天井(傾斜した部分)を組合わせた伝統的意匠を保ちつつ、天井高のサイズや照明を組込むなど、現代の生活空間としてアレンジし完成させました。
その昔、武士は刀を外し茶室に入ったそうです。 唯一、心を休ませ、精神を統一させたのかもしれません。 狭く壁に囲まれた茶室の空間は、不思議とどこか非日常的な時間が流れ、心が休まる空間なのです。
忙しい毎日を過ごされている皆様へ「心が休まる空間」をぜひ考えてみてはいかがでしょうか。
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このコラムの執筆専門家
- 酒井 正人
- (東京都 / 建築家)
- サカイデザインネットワーク有限会社 取締役社長
住む人の手が触れる場所から、建物へ、街へと心地良さを拡げたい
設計手法・デザインの発想は「内側から外側へ」・・・建物という器だけをつくるのではなく、私達が暮らす場である生活空間の細部から生活環境全体のデザインを追求し「心地よさ」をご提案しています。
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