今こそ英断を！タバコと訣別し健康と幸せを入手する方法（５）

（続き）・・喫煙者がタバコを吸っている時間と吸っていない時間とを比べてみると、実はタバコを吸っていない時間の方が圧倒的に長く、１本吸う間に主流煙の約２７倍も副流煙を排出する時間が長くなっています。よく副流煙は広い空間に拡散するのでそんなに危険はない、などとの主張もありますが、風の吹いている屋外ならばいざ知らず、狭い室内や車内、トイレの中などではあっという間に高濃度の煙が充満してしまい、その中に居合わせた非喫煙者の肺内に吸い込まれてしまうのです。

受動喫煙は様々な健康障害を引き起こすことが知られています。主流煙の４７倍も含まれるアンモニアは鼻粘膜や咽頭粘膜を刺激し、ノドの痛みや目の痛み、流涙、くしゃみ、頭痛などを引き起こします。これらの反応はタバコの煙に慣れた喫煙者よりも慣れていない非喫煙者の方に強く現れます。ぜんそくの持病のある方はタバコの煙で発作が誘発されます。喫煙者の親をもつ子供がぜんそく発作を起こして救急車で病院に運ばれる、というのはよくある光景です。

副流煙による慢性の影響はもっと深刻です。ガン予防で知られる平山雄氏の研究では、喫煙者の男性の妻（非喫煙者）は非喫煙者の男性の妻（非喫煙者）よりも、肺ガンにかかる確率が約２倍高かったと報告されています。これは夫と妻の関係が反対の場合でも同様の結果です。さらに喫煙者に飼われている犬の肺ガン発症率は、非喫煙者に飼われている犬に比べ約１．６倍も高率でした。このように間接喫煙は、確実にガンの発症を促進しているのです。

肺ガン以外でも、喉頭ガンや乳ガンなどの悪性腫瘍、ＣＯＰＤ，虚血性心疾患、脳血管障害など様々な疾患の発症率が受動喫煙によって上昇しています。これらも含め、受動喫煙が原因で早死にする人は１０万人に約５０００人の割合、肺ガンになる人は年間１０００～２０００人と推計されています。また非喫煙者の心筋梗塞による死者のうち、約２０％は周囲の人のタバコが原因といわれています。米国では心筋梗塞で死亡した社員の遺族が職場の喫煙者である元同僚を訴えた、というケースも増えています。

一方で母親の子宮内にいる胎児は、母親の喫煙や受動喫煙の影響をたいへん強く受けます。妊娠中の喫煙や受動喫煙は流産や早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離、早期破水、出産時の様々な異常の原因となるほか、唇裂や口蓋裂、先天性小頭症など先天性障害の発症率を上昇させます。また母親の喫煙により胎児は栄養不足、酸素不足に陥り、低体重児の割合が高くなります。夫だけが吸う場合には１．７倍、夫婦ともに吸う場合には２．４倍も、非喫煙夫婦に比べ低体重児の出現率が上昇します。

タバコの煙は出産後の授乳にも影響を与えます。喫煙者の母親が出す母乳には様々な有害物質が溶け込んでおり、乳児はそれを毎日飲まされ続けるのです。例えばニコチンは、母乳中に血中濃度の３倍も含まれています。そのためにニコチン入りの母乳を毎日飲まされる乳児はニコチン中毒となり、乳幼児突然死症候群という痛ましい事故の大きな原因となっています。最近の２０代女性の喫煙率の上昇を反映し、このような胎児や乳幼児へのタバコの悪影響がより深刻となってきています・・（続く）