マドレーヌの発祥、コメルシーのマドレーヌ - 洋菓子・和菓子 - 専門家プロファイル

塚本 有紀
フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
大阪府
料理講師

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:料理・クッキング

宮代 眞弓
(料理講師)
黄 惠子
(料理講師)

閲覧数順 2024年04月19日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

マドレーヌの発祥、コメルシーのマドレーヌ

- good

  1. 趣味・教養
  2. 料理・クッキング
  3. 洋菓子・和菓子

マドレーヌの発祥はフランス・ロレーヌ地方です。

諸説ありますが、ポーランドの王位を追われたスタニラス・レクチンスキーがコメルシーCommercyにいたときに、お城の菓子職人が宴会の途中で喧嘩をして辞めてしまい、デザートにだすものがなくなり困り果て・・。召使いの少女マドレーヌが、あるいは女料理人のマドレーヌが、即興で作ったのが、マドレーヌと言われています。このお菓子にいたく魅了されたレクチンスキー王はヴェルサイユに住む娘であるマリー・レクチンスキー(ルイ15世妃)にも送り届けたのだそう。


コメルシーでは長い間このレシピは秘密とされ、お菓子屋の間で高い値段で売り買いされていたのだとか。
以前調べ物をしていたら、辞書にコメルシーのマドレーヌのレシピを見つけました。

「これかぁ、売り買いされていたレシピというのは!」通常マドレーヌは卵を泡立て、溶かしバターを加えるのが普通かと思いますが、これはポマードバターからスタートするやり方。さっそく焼いてみると素朴なバターケーキのような味わい。ところがつい先日、また別の探し物をしていたら、ラルース料理事典Larousse gastronomiqueにまた別のコメルシーのマドレーヌのレシピを発見したのです。

「えぇぇ、一つじゃないの!?」

探してみたら、ルノートルの地方菓子の本Desserts de traditionnels de Franceにも別のコメルシーが! こちらはポマードではなく、普通に溶かしバターです。こうなるとどれが本当のコメルシーの定義なのかが分からなくなってしまいました・・。こうなったら、次のフランス旅行ではコメルシーに行って、本当のコメルシーのマドレーヌの定義についてどうしても調べなければ!

レシピ通り焼いてみると、(ベーキングパウダーなどもちろん入れていないのに)ぷっくりと愛らしいおへそがでます。今もマドレーヌはこの町の特産品として作られていて、パリでも木箱に入ったコメルシーのマドレーヌを買うことができます。お菓子屋さんの奥の棚やデパートの食品館の地方銘菓コーナーにあります。ぼそっとしていますが、素朴に味わい深くおいしいものです。旅行で行かれるのなら、ぜひお試しを。


このコラムに類似したコラム

研究日 宮代 眞弓 - 料理講師(2013/06/04 13:12)

エビスビール × ジョエル・ロビュション 塚本 有紀 - 料理講師(2013/02/27 08:04)

ブルゴーニュのお土産「燻製紅茶入りのマスタード」! 塚本 有紀 - 料理講師(2012/11/13 22:43)

レシピ紹介の写真撮りをしています 塚本 有紀 - 料理講師(2012/07/11 21:58)

ロデヴを求めて モンペリエ郊外のパン屋さん 塚本 有紀 - 料理講師(2012/05/18 00:40)