- こぐちたかお
- 行政書士こぐちたかお相談室 代表
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3月11日の東日本大震災の発生で、国際都市・東京も大きく変化しました。
これまで、街で外国の方々を見ることは決して珍しいことではなかったのですが、その数が圧倒的に少なくなったと感じる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
法務省が4月15日に発表した出入国の統計をみると、震災前の1週間と震災後の1週間で外国籍の方の出国者数は14万人から24万に膨れ、逆に入国者数は16万人から6万にまで減少しました。差し引きの総数を考えると、まるで日本から都市ひとつが移転してしまったかのようです。
統計を読み進めると、3月26日以降は、日本に来る外国の方々が出て行ってしまう方々を上回るようになっています。留学や仕事を目的にした方が日本へ戻るペースは速いようです。日本が震災にあっても、ひどい混乱に陥らなかったということが、まだ揺れが収まらない日本に戻る要素になったのかもしれません。ただし、海外で報道された内容がショッキングなものが多かったせいか、旅行目的で訪れる数は依然として厳しい状況にあるようです。
さて。大きな視点でみると、こんな日本の状況がみえてきます。しかし、震災当時、帰国された方も、そして日本に残ると決めた方も、それぞれに別の事情と思いを抱えていました。私が知っている何人かの方々のエピソードを、何回かに分けてお話したいと思います。
「今、日本を離れてもいいのだろうか」
まず最初は、ちょうど地震の時に留学を終え、3月20日に北欧に帰国予定だったAさんのお話です。
お母様が日本人ということで、日本語だけでなく習慣や考え方を深く勉強されていた方でした。
インターン先の上司にも気に入られ、大学を卒業して日本と関わる仕事をしたいと夢を語っていました。
そんなAさん、多忙な毎日を過ごしていたため、帰国に必要な書類を揃えるのが期限ぎりぎりになってしまいました。そこで私は、急いでその手続きが完了できるよう、お手伝いをしていました。そんな時に震災が起きたのです。
当時は交通機関も混乱し、計画停電で公的機関の作業も滞りがちだったので、日程が間に合うか、冷や汗ものでした。あれこれとやりくりし、なんとか期限に間に合い、Aさんに書類を渡すことができました。
書類を渡されたAさんは、私にお礼とともに、こんなことを相談してきました。
「今、日本を離れてもいいのだろうか」
混乱きわまる日本、それでもがんばろうとしている人たちを見て、Aさんは、日本を離れることに心を痛めていたそうです。言葉は簡単ですが、その時のAさんの真剣な表情に、「そこまで日本を思ってもらって、有り難い」という気持ちがわきました。
飛行機のチケットも動かせなく、予定通り帰国されました。テレビでは、地震や原発の恐怖にあわてて出国する大勢の人が映し出されていましたが、中にはそんな思いであの空港にいる人もいたのです。いつか、Aさんが日本に帰ってきた時に、今よりも暮らしやすいように、私たちもがんばらなければと強く思っています。
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