- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
ここでの「量」とは、土地に建ちうる建物の床面積です。
建物高さを、例えば半分に制限したら、建てられる量は半分となります。
景観が向上して(長い時間をかけて)、質が上がるでしょうが、目に見えて価値が上がることは考えにくく、地主にとって、総合的に土地の価値が下がることになります。
分譲マンション住民にとっては、将来マンションを建て直した時、同じ床面積のマンションを建てることができないため、マンションを売ることができなくなるのではないか、価値が大幅に下がるのでは、との不安を持たれています。
規制実施に踏み切る段になると、必ずかけこみで建てるのが現れます。
高さが規制される所では、今後高層マンションが建てられなくなるため、かけこみマンションに、希少価値を産んでしいました。
今後建てられない高層階を高級化仕様にしたところ、標準よりはるかに高い価格でも売れてしまう、という皮肉なことが起きてしまったのです。
さまざまな問題が存在し、議論も対策も不十分なまま新景観政策がスタートしたのかもしれません。
日本中ほとんどの街で景観が失われてしまった中、完全ではないものの、それがまだ残る京都に、部外者ながら、美しい古都を残してほしいと願う一人として、エールを送りながら、見守っていきたいと思います。