京都市で新景観政策がスタート−3 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

森岡 篤
有限会社パルティータ 代表
建築家

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対象:住宅設計・構造

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京都市で新景観政策がスタート−3

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家の話あれこれ
土地の経済能力は、質×量で考えることができます。
ここでの「量」とは、土地に建ちうる建物の床面積です。
建物高さを、例えば半分に制限したら、建てられる量は半分となります。
景観が向上して(長い時間をかけて)、質が上がるでしょうが、目に見えて価値が上がることは考えにくく、地主にとって、総合的に土地の価値が下がることになります。

分譲マンション住民にとっては、将来マンションを建て直した時、同じ床面積のマンションを建てることができないため、マンションを売ることができなくなるのではないか、価値が大幅に下がるのでは、との不安を持たれています。


規制実施に踏み切る段になると、必ずかけこみで建てるのが現れます。

高さが規制される所では、今後高層マンションが建てられなくなるため、かけこみマンションに、希少価値を産んでしいました。
今後建てられない高層階を高級化仕様にしたところ、標準よりはるかに高い価格でも売れてしまう、という皮肉なことが起きてしまったのです。


さまざまな問題が存在し、議論も対策も不十分なまま新景観政策がスタートしたのかもしれません。

日本中ほとんどの街で景観が失われてしまった中、完全ではないものの、それがまだ残る京都に、部外者ながら、美しい古都を残してほしいと願う一人として、エールを送りながら、見守っていきたいと思います。