
- 神谷えみ
- Kamiya English Coaching コーチ
- 英語講師
対象:英語
アメリカの大学では5月中旬が卒業シーズンです。卒業式は12月にも行われますが、やはり5月の方が気候も良いですから参加者が多く、規模が大きいです。大勢の人を迎えるため、キャンパスは式典に向けて準備を進めています。
卒業関連の用語には特別なものがいろいろあります。いくつかご紹介しましょう。
【卒業準備】
アメリカの大学では、日本のように「卒業は最終年の3月」というような決まりがないので、自分で卒業の時期を決定してGraduation Application/ Registrationを済ませなければなりません。学期のはじめに「今学期末で卒業を希望する人へ」という案内が出ますので、それに従って登録を行います。もし最終学期に単位が取れなければ卒業を延ばすだけですが、逆はできませんから卒業希望の学期が来たらこの手続を必ず行っておきます。
卒業式に出席する場合は式典用の衣装をそろえなくてはなりません。レンタルもあります。サイズが合えば友達に借りてもOKです。礼服一式のセットをRegaliaと呼びます。Cap & Gownということもできます。他には、Tassel(Capに取り付ける房)やHood(Gownの上からかける飾り布)などを用意します。帽子は学士と修士ではCap(角帽)ですが、博士はTamと呼ばれる丸いものをかぶります。
【卒業生】
卒業する人はGraduating senior(学部4年生)、 Master/Doctoral degree recipient(修士/博士号をもらう人)と呼ばれます。まとめて、Degree candidateとも呼ばれます。これは日本とちょっと違うところだと思いますが、アメリカの大学では卒業式に出席する人は「これから学位をもらう人」と捉えられています。だからまだ『卒業生』ではありません。学位を取得したらGraduateとなります。卒業した先輩という意味の卒業生(日本語で言うOB・OG)はAlumniといいます。
【卒業式】
『卒業式』という場合にはGraduation ceremonyという言い方もしますが、特に学内ではCommencementの方がよく使われます。日本語の『卒業』は“終わり”のイメージが強いですが、アメリカで大学を修了することは“始まり・出発”だからでしょう(興味のある方はぜひ辞書を引いてみてください)。
式典では学長の挨拶、議員やAlumniからの祝辞、学生代表のスピーチなどが行われます。学生にとって楽しみなのは、一人ずつ名前を呼ばれて壇上に上がるGraduation Recognitionです。人気のある学生の名前が呼ばれると会場から歓声が上がります。ステージ上でガッツポーズを見せたり、学長やお世話になった先生とハグをする学生もいます。
卒業式はそれぞれの学生のAccomplishmentを称える場ですが、特に優秀な成績を修めた学生にはHonorがつきます。Cum laudeともいいますが、普通はWith honorsといって、たとえば履歴書などにも書ける名誉です。Honorがつく学生には事前に大学から通知が届きます。この通知によってHonor's medallionを買う許可が与えられ、それを身につけて卒業式に参加することもできます。
ちなみに卒業することと、卒業式に参加することとの間には関係がありません。卒業式に出ない学生もたくさんいますし、たとえば8月や12月に卒業という場合に、前倒し、または先送りして5月の卒業式に参加しておくこともできます。卒業式には参加したけれど、残念ながら卒業は取り消し…なんてことも。実際、私が初めての卒業式に出たときは期末試験の翌日でした。卒業式に出て、家族や友人と喜びを分かち合ってすっかり卒業した気でいるけれど「もし昨日の試験の結果が落第していたらどうなるんだろう?」と思ったものです。
【卒業式後】
式典のあとはBanquetやFamily Picnicに参加したり、家族と食事にでかけたりします。大学で学位を取ることは家族みんなにとって誇らしいことですから、みんなでお祝いします。
学期が終わってしばらくすると、大学が成績を集計します。卒業が確定するとDiplomaが送られてきます。これが届いたら晴れて正式な卒業が認められたことになります。
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