- 宮田 幸治
- 株式会社宮田IFA事務所 代表取締役
- 埼玉県
- 経営コンサルタント
対象:財務・資金調達
企業における日本証券市場の魅力が失われていないか?
MBOが証券市場を賑わしている
御存じの方が多いと思うが、MBOとは、経営陣による買収を意味している。
最近のMBOを行う旨の発表を行った企業は、幻冬舎・ワークスアプリケーション・
エノテカ・CCC・アートコーポレーション等があげられる。
上場している企業が、なぜ、自らの手でMBOを実施し上場廃止を目指すのか、私なりの見解を述べてみたい。もちろんいろいろと問題があるであろう、だが、一言で言うならば証券市場に上場している魅力を感じられないからであろう。
平成20年4月1日以降に開始された事業年度における内部統制制度の適用、その適用に伴う人件費の増加、そして会計監査費用が経営負担となっているのだ。私はクライアント企業と内部統制制度の構築をしたことがあるが、実際にかなりの書面の量である、そして何よりも、時間が想像以上にかかり、非効率極まりないのである。FAXやメールを流すのも面倒なことがおこるのである。業務量が増えたうえにその業務を監査する会計監査費用も増大するのでは、新興企業などには経営負担になるのは当然だ。また、今後は、IFRS(国際財務報告基準)の準拠による開示項目の変更と、有価証券報告書等の継続開示に係る費用等の増加も更に見込まれる。これらの費用は売上には直接に結びつくことがない費用である。経営負担が増加するのは避けられない状況であるのだ。これではなんのために上場をし、資金調達をしたのかがわからないことになってしまっている、そして上場をしているメリットが薄れていき、結果的にMBOを行い、上場廃止を選択してしまうのだ。今の証券市場にコストを上回るメリットがないことが一番の原因だといえるであろう。
東京証券取引所にはTOKYOAIM というプロ向け新市場が2009年6月に設立されている。
あまり存在を知られてはいないが、間違いなく存在するのだ。
この市場には、先に記載した、四半期開示や内部統制報告書は不要である。よって上場コストは他市場に比べ抑えることができる。そして上場承認期間も短く、上場基準における数値基準もない。監査証明も1年である。ところが2011年2月現在、まだ1社もTOKYOAIMには上場していないのである。ここにもMBOにおける上場廃止同様に、これから上場を目指す企業にも魅力はないと思われているようだ。今後もこのような状態が続くのであれば日本株式市場の存在そのものが本当に危なくなると思う。
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