- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 近江 清秀
- (税理士)
- 平 仁
- (税理士)
公務員の不祥事は数あれど、言語道断な事件を報道で知りました。
http://www.asahi.com/national/update/0218/TKY201102180129.html?ref=goo
ある町で、住民に無断で確定申告書を町が提出し、その還付金を、
滞納している国民健康保険税に充当していた可能性があるというのだ。
2003~05年の確定申告について、税務署から修正申告をしょうようされた
住民からの訴えで判明したということですが、なぜこの時期なんですかね?
勤務する会社が昨年中に税務調査を受けた際に発見されたとしても、
税務署長による更正処分は5年前のものまでしかできませんし、
偽りその他不正の行為がある場合(悪質な脱税紛いの場合)で、
やっとあと2年さかのぼれることになります。悪質ではない場合には、
05年分までしかさかのぼれないんですね。
つまり、03~05年ということは、税務署がこの人たちを重加算税の
対象となる悪質事例として処分する可能性が高いということでしょうか?
それとも、昨年7月の最高裁判決を受けて、二重課税を受けていた
年金に対する所得税の10年分の還付をお相談に行ったのでしょうか?
もし町による無断申告が事実で、記事にあるような実体のない医療費控除や
保険料控除を計上したのであれば、法律上は代理人の行為は本人の行為に
当たりますので、故意に過少申告をした悪質な行為は住民の方が行った
ことになり、重加算税(40%加算)、延滞税(年利14.6%)が課される。
本人が知りえなかったので、松尾事件(最高裁平成17年1月17日判決
TAINSコードZ888-0928、同審差戻審最高裁平成20年3月27日判決
TAINSコードZ888-1438、最高裁平成18年4月20日TAINSコード
Z888-1076、最高裁平成18年4月25日判決TAINSコードZ888-1078。
顧問税理士が税務職員と結託して納税者に無断で過少申告による申告書を
作成・提出)を考えると、住民には重加算税は課されないかもしれません。
こういうことが起きるから税理士以外の者に特例で税理士業を許可する
制度(税理士法50条1項)は廃止を含め、検討すべきでしょう。
納税者の利便性を図る意味では、必要性がなくなったとは言えませんが、
地方公共団体や農協、漁協等の職員が、税理士と同等の研鑽を積んでいる
はずがないのですね。もし積んでいるのであれば、職業専門家として
国家資格を税理士に与え、無償独占させる意味は全くありません。
天下り資格でしかなかった税理士資格の職業専門家としての現代的意義を
考え直す時期に来ているといえるでしょうね。
このニュースは、税理士の未来に歴史を刻む事件になるかもしれませんね。
このコラムに類似したコラム
青色申告のまとめ 高橋 昌也 - 税理士(2013/02/18 07:00)
☆確定申告だけじゃない会計事務所利用のメリット 岸井 幸生 - 公認会計士・税理士(2014/01/23 08:00)
地域活動について考える 高橋 昌也 - 税理士(2013/06/09 07:00)
脱税事件が・・・ 平 仁 - 税理士(2013/03/05 22:56)
確定申告のお客様からいただいたお言葉~将来型はこうする(22) 岸井 幸生 - 公認会計士・税理士(2013/03/04 13:59)