A&M通信~第16回 競争優位戦略について~ - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

中山 幹男
株式会社A&Mコンサルト 代表取締役
大阪府
経営コンサルタント

注目の専門家コラムランキングRSS

対象:経営コンサルティング

寺崎 芳紀
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)
寺崎 芳紀
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)
寺崎 芳紀
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月23日更新

専門家の皆様へ 専門家プロファイルでは、さまざまなジャンルの専門家を募集しています。
出展をご検討の方はお気軽にご請求ください。

A&M通信~第16回 競争優位戦略について~

- good

  1. 法人・ビジネス
  2. 経営コンサルティング
  3. 経営戦略・事業ビジョン
経営コンサルティング 経営

 先月、当社のクライアント先で1985年に当時ハーバードビジネススクール教授であったマイケルポーターが出版した競争優位戦略に基づいた事業戦略構築の合宿をした。
 戦略論は「競争に勝ち利益を得る」戦略として事業の戦略ポジションを重要にするポーターの競争優位戦略、同じく競争に勝つ為に企業の経営資源の強みを重点にするコアコンピタンス経営、そして、むやみな「競争をさけ利益を得る」非競争戦略をポイントにするブルーオーシャン戦略等がある。
 もともと戦略は経営目的を達成する為に経営資源を有効に使い、顧客に受けいられ、競合に勝つ為のツールであり、勝ち目のない無駄な競争を回避し、競争相手の無力化にある。
この競争戦略で当時、ポーターは経営戦略の本質を次のように言っている。

 

 経営戦略の本質とは競争企業とは異なった企業行動を選択する事、                                                             つまり、その企業特有の「戦略ポジションを」とることにあり、そもそも各企業が同じ目標を経営や業務の効率化に                                   展開する事とは異なる。
 従って、日本にはソニーを除くと、日本企業のほとんどには戦略は存在しない。日本企業の経営戦略の発想には事業環境の連続性を前提に、右肩上がりの成長を目標としているものの、差別化的な競争を否定し、組織を共同体として継続させるようなことをトッププライオリティに掲げる傾向がある。このような思考から、自社特有の新しい戦略ポジションを模索したり、高収益を達成させるようなユニークな企業行動や経営戦略は生まれない。
アメリカ企業の経営戦略の発想には、企業価値を引き上げ、株主に報いるとともに、企業の社会評価を高め、最終的に経営者の価値(報酬)を引き上げることが、その根幹にある。

 

確かに高度成長時代の日本の企業の戦略は横並び思考を大切にし、競合と異なる土壌で戦う戦略らしき戦略はなかったように思う。ただバブル崩壊後、日本の企業の中でもユニークな戦略を立案し戦っている企業が数多く出ている。

 

マイケルポーターの

競争優位戦略の3つの戦略ポジション

1. コストリーダーシップ戦略(コスト力で競争に勝つ)
2. 差別化戦略(商品、サービスで他社との差別化で勝つ)
3. 集中特化戦略(市場を特化し、経営資源を集中し競争に勝つ)

 

は有名だが、この観点で日本の企業をみてみると、衣料品のファーストリテイリングのユニクロ、家具のニトリなどはコストリーダーシップ戦略をとり、低価格を武器に戦っている。                                           

また、トヨタのハイブリッド車のプリウス、日産のEV車のリーフなどは明らかに差別化戦略をとり、他社にない差別化商品を出し競走優位を保とうとしている。

 一方、最近話題になっている格安航空会社(LCC)は顧客ターゲットを絞り、その顧客だけのニーズ、要望を満たす集中特化戦略をとっている。その典型が米国のサウスウエスト航空であり、ターゲット顧客を短距離路線(1時間)を利用し「安い航空運賃、早く搭乗したい、利用できる便数が多い、機内食不要」のニーズを持った顧客に絞り、この顧客のニーズを満足できるビジネスの仕組として、機内食廃止、機内清掃はCA、航空機をB737に絞込み、整備コストの低減、航空機の稼働率向上を図っている。全日空も新会社を設立してこのLCCに近々、参入するようだが、この戦略ポジションをとった場合、既存航空事業とバッティングをする可能性があり、ユナイテッド航空、デルタ航空はこのLCCに失敗している。戦略が異なる既存事業との明確な切り離しが必要と思う。
 

 この競争優位戦略の戦略ポジションの考え方はあらゆる業種、サービスに活用できる考え方であり、コンサルティングの指導現場でも活用していきたい。

このコラムに類似したコラム

数年先の経営を見据えた議論 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2016/03/02 10:37)

ドキュメンテーションによる見える化 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2015/12/24 09:51)

平成26年度かわさき知的財産スクールのご紹介 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2014/04/19 15:24)

A&M通信~第20回 経営の想いとは~ 中山 幹男 - 経営コンサルタント(2011/06/10 14:24)

オンライン無料経営相談会のお知らせ【ITベンダー脱下請】 長谷川 進 - 経営コンサルタント(2022/04/26 11:06)