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米国特許判例紹介:KSR 最高裁判決後の自明性判断基準 (第3回)
~2010KSR ガイドライン~
河野特許事務所 2010年12月17日 執筆者:弁理士 河野 英仁
(3)Sundance事件[1]
(i)判決骨子:クレーム発明が、公知の技術要素組み合わせ後の各特性・機能を維持することが合理的に予期できる公知の先行技術要素の組み合わせにすぎない場合、自明と判断される。
(ii)背景
原告は、U.S. Patent No. 5,026,109 (以下、109特許という)を所有している。109特許は、セグメント化され、また機械化されたトラック、スイミングプール等に用いられるカバーを権利化している。参考図3は109特許の図1である。
参考図3 109特許の図1 参考図4 第1先行技術 参考図5 第2先行技術
第1先行技術は、トラックに使用される格納式防水布カバーシステムを開示している。参考図4は第1引例の図1である。第1先行技術には、本発明の「セグメント化された防水シート」を開示されていないが、修復が容易になるため、セグメント化されたカバーを製造する必要性がある点に言及している。
第2先行技術は「柔軟性あるスクリーン部材に分割されたカバーシステム」を開示しており、また当該システムは機械化されており、トラックカバーにも用いられると開示されている。参考図5は第2先行技術の図1及び図2である。
(iii)争点
シートをセグメント化及び機械化した本発明が、セグメント化について言及する防水カバーシステムである第1先行技術と、機械化されたカバーを開示する第2先行技術との組み合わせにより、自明であるか否かが問題となった。
(iv)CAFCの判断
CAFCは、セグメント化の利点を開示する第1先行技術と、機械化を開示する第2先行技術とを組み合わせた後の機能は、組み合わせると同一の機能を発揮することから、本発明は自明であると結論づけた。また、CAFCは、当業者であれば、第1先行技術に開示された交換可能なセグメントを他の機械化されたカバーに適用し、双方の利点を保持するカバーを製造するであろうことは容易に予期できると述べた。
(v)まとめ
本事件は自明に基づく拒絶の典型例である。当業者が先行技術要素を組み合わせた後に、双方の特性・機能を維持できることを合理的に予期できる場合は、自明と判断される。
[1] Sundance, Inc. v. DeMonte Fabricating Ltd., 550 F.3d 1356 (Fed. Cir. 2008)
(第4回へ続く)
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