
- 平 仁
- ABC税理士法人 税理士
- 東京都
- 税理士
対象:税務・確定申告
- 近江 清秀
- (税理士)
- 平 仁
- (税理士)
国税庁は、平成22年10月20日付「相続等に係る生命保険契約等に
基づく年金の税務上の取扱いの変更について」を公表しました。
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/topics/data/h22/sozoku_zoyo/index.htm
これは、最高裁判所平成22年7月6日判決において、いわゆる年金保険
について、相続税の対象となっていた部分に対して所得税を課していた
現行制度は、憲法が認めていない二重課税に当たるので、取り消すとの
判決が出たことを受けて、判決翌日に野田財務大臣が「過去にさかのぼって
還付します」と記者会見したことに対応する措置を明らかにしたものです。
この度の取扱いの変更により、平成17年分~平成21年分における年金保険
に対する所得税の取扱いが変更され、税金を払いすぎている方にはお返し
することになりました。平成16年分以前については、現行法では還付する
ことができませんので、通常国会に改正法案が上程される予定です。
この度の措置により還付の対象となる可能性がある方には、保険会社から
国税庁のパンフレットとともに源泉徴収票が再発行されることになって
おりますが、相続等により受け取っている年金保険等が対象ですので、
ご自身が掛けていた年金保険を受け取っている方や、年金保険額が少額で
所得税を課されていない方は、この度の措置の対象にはなりません。
また、必ず還付になるわけではありません。
この度の措置は、「税額等の計算の基礎となった事実に係る国税庁長官が
発した通達に示されている法令の解釈その他の国税庁長官の法令の解釈が、
(略)判例に伴って変更され、変更後の解釈が国税庁長官により公表された
ことにより(略)税額等が異なることとなる取扱いを受けることとなった
ことを知ったこと」(国税通則法施行令6条1項5号)により、「当該理由が
生じた日の翌日から起算して2月以内」(国税通則法23条2項3号)に
更正の請求をすることになりますので、還付請求期限が12月20日になる
ことが考えられます。
ただ、国税通則法施行令の規定は、納税者がその事実を知った日が起算日で
あると解釈できますので、国税庁は「(注)更正の請求は、取扱いの変更を
知った日の翌日から2月以内に行っていただく必要があります。
更正の請求に基づき減額更正できる期間は、原則として申告書を提出された
日から5年間となります。このため、平成17年分について、早い方は
平成22年12月末が期限になりますので、ご注意ください。」としています。
判決から3か月。ようやく解決に向けて具体的に動き出したと言えますね。
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