
- 清水 康弘
- 株式会社参創ハウテック 代表取締役社長
- 工務店
対象:新築工事・施工
数年前になりますが、娘が通学していた小学校で「家の近所で秋を見つけてくるように」という宿題が出され、ちょっとした手伝いをしたことがあります。
子供と一緒に秋を見つけようと、近所の紅葉や落ち葉を捜しましたが、学校に提出できるほどの教材が集まらず、結局車で15分程度のところにある川口市のグリーンセンターへ出かけ、やっとの思いで松ぼっくりや栗、そして真っ赤に焼けたもみじの落ち葉などを集めて持ち帰り、親の面目を保ったのでした。
親である私自身は、そこら中に季節感が転がっている北海道の大自然の中で育ったせいか、「秋を見つける」などと言った、いかにも都会的で高尚な宿題に向き合った経験がなく、「秋」という季節を表現する様々な名詞を捜すと言う行為に、少しばかり詩の世界を楽しむような清々しい気持ちになれたことを思い出しました。
春から夏にはクロロフィル(緑葉素)の働きで、新鮮な緑の葉を湛え、朝夕の最低外気温が8℃を下回る季節には、カロテノイドが葉を黄色に染める。さらに5~6℃以下に冷え込むことで、アントシニアンが活性化して葉を真っ赤に染め始めるのです。ちょうど11月初旬から下旬にかけて、幹の先端から赤・黄色・緑の三色を基本にした色とりどりのコントラストが、なんと言っても見事なのです。
誰かさんが 誰かさんが 誰かさんが 見つけた
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
お部屋(へや)は北(きた)向(む)き くもりのガラス
うつろな目(め)の色(いろ) 溶かしたミルク
わずかな隙(すき)から 秋の風(かぜ)
小さい秋 小さい秋 小さい秋 見つけた
今から50年以上前の昭和30年に作詞作曲された有名な童謡「小さい秋」の二番の詩です。
現在では北向きの部屋の窓の結露はペアガラスで解決しており、わずかな隙間風は気密を向上させた工法で、冬も省エネで暖かい家に生まれ変わってしまいました。
この詩の語感から読み取れる当時の住宅事情。演歌の「心に吹く隙間風」なら未だしも、今ではまず詩になりえない「家の隙間風」。
家の中からも情緒的な趣は減ってしまったのだと、あらためて納得してしまうのでした。
ならばせめて、家の敷地内に季節を堪能できる植木を配置し、癒しを求めるのは住宅屋ゆえのおじさんの抵抗なのでしょうか。
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