中小零細企業 × M&A 【36(終)】 - 独立開業全般 - 専門家プロファイル

後藤 義弘
代表取締役
社会保険労務士

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対象:独立開業

尾崎 友俐
尾崎 友俐
(経営コンサルタント)

閲覧数順 2024年04月23日更新

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中小零細企業 × M&A 【36(終)】

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ビジネスモデル事例 M&A (組織再編)
  (7) 資金力の乏しい新規事業者による他社事業の取得

これはかたちとしてはM&Aと言えるかもしれません。
現実性があるかどうか疑問ですが、例えば

  「資金」はないが「アイデア」「ノウハウ」「営業力」に自身あり

というような新規開業者が、売りに出ている他者事業を取得したい場合にこの「会社分割」が使えないかです。

ただこの場合、結局ほぼ「出資」をお願いするに等しい状態と言え、相手が簡単に応じるとは考えにくいところですが、交渉次第では「会社分割」を使い極端な話ほぼノーキャッシュで事業を取得し、事業再生後事後的に株式の譲渡により相手会社との支配関係を解消し、事業を完全に切離すという手法も理論上可能ではあります。 つまり

  会社分割 → 事業再生 → 株式譲渡 → 事業の完全取得

という流れでまずは事業を建て直しキャッシュができてから株式を買取る、このプロセスが組めれば、手持ち資金がなくても事業の取得が可能となるわけです。 

また例えば買収対象事業に「不動産」がからめば、「会社分割」による所有権移転により「不動産取得税」と「登録免許税」の減免メリットが受けられることについては当コラムにてお話したところですが、その額によっては、これらの課税負担軽減を交渉材料(例えばこのメリットを価格[対価]に反映させるなど)に「会社分割」での事業取得を目指すことも考えられます。

このように見てみると、「会社分割」の守備範囲は上(7)のような他社事業の取得といった文字通りM&A目的以外に、中小零細企業の単独行為として業績改善・向上、コンプライアンス、株式上場、リスクマネジメントなど、様々なビジネスシーンにおいてその有効活用が考えられる、奥の深いビジネスツールであることがおわかりいただけると思います。