- 中沢 努
- パンセ・ソバージュ・アンド・カンパニー 代表
- 東京都
- コンサルタント・研修講師・講演講師
対象:人材育成
(その1)
あるところに、出世に出世を重ね、長きにわたりトップの座を守りつづける大企業の社長がいた。
「老害だ」という周囲の言葉などどこ吹く風。社長は周りにイエスマンを侍らせ、わが世の春を謳歌し続けた。
(その2)
あるところに「あの先生に頼めば無理なことでも何とかしてくれる」という評判の政治家がいた。
なるほど不思議なことに、その先生の手にかかると無理なことでもどうにかなってしまうのが常だった。
優秀な先生であったが、何よりの好物が「お金と権力」というのが玉にきずであった。
(その3)
あるところに、一代で巨万の富を築いたベンチャー起業家がいた。
その人の会社案内には「我が社は社員を大切にします」と書いてあったが、社員は「社長の富を生みだす道具」のごとく扱われ、誰もが疲弊しきっているのが実際であった。
この3人・・・社長も、政治家も、ベンチャー起業家も・・・は、いずれも世間一般では「成功者」のカテゴリーに属する人たちである。
この成功者たちの例をふまえ、「世の中で成功するためには何が大切なのか?」ということを考えてみる。
成功するために必要なこととして、一般に良く言われることを挙げてみた。
運、才能、努力、禁欲、勤勉 などなど。
まあ、確かに大切だ。いずれも必要なものなのだろう。
しかし先にあげた例を含め、今の世の中で成功している人たちを見ていると、もっと違うものが必要であるように見えてくる・・・ような気がしてならない。
それは何か?
“エゴ”。そう、あの「エゴイズム」の“エゴ”である。
カントはエゴイストを3つに分けた。
1つ目は「論理的エゴイスト」。
これは、自分の判断を他人の知性で評価/判断/検討してもらう必要を認めない人のこと。
2つ目は「美観的エゴイスト」。
これは、自分の趣味や趣向を満たすことが何にもまして大切になっている人のこと。
3つ目は「道徳的エゴイスト」。
これは、自分に役立つものだけを認める(自分に役立たないものには重きをおかない)人のこと。
ワンマン社長、自分の仕事の流儀を部下にも強制し一人悦に言っている上司、自分にとって役に立たない部下に冷たい上司・・・・。
先に挙げた3人に限らず、エゴが強い「優秀な人」は少なくない(ような気がする)。
カントが言ったエゴとは、必ずしも今の私たちがイメージするようなエゴイズムのことではないのだが、こうして見てみると、何だか言い得て妙な気がしてならない。
(中沢努「思考のための習作」から抜粋)
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