2010年廃棄物処理法改正の解説(5)許可申請手続きの規制緩和 - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

尾上 雅典
行政書士エース環境法務事務所 
大阪府
行政書士

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2010年廃棄物処理法改正の解説(5)許可申請手続きの規制緩和

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法令改正 2010年 廃棄物処理法改正

10月1日に発行したメールマガジンを転載します。

 

※パブリックコメント募集前の政省令案は、下記のURLで公開されています。
http://www.env.go.jp/council/03haiki/y0320-13/mat02.pdf

 

第5回目は、産業廃棄物処理業の許可申請手続きの規制緩和について解説します。

 

2010年廃棄物処理法改正の目玉は、「排出事業者責任の強化徹底」と「優良処理業者の育成」の二本柱となっています。

 

今回は、「優良処理業者の育成」のために行われた、許可申請手続きの規制緩和のお話となります。

 

規制緩和をすれば優良業者がすぐに増えるわけではありませんが、優良処理業者を増やすためには、優良であり続けることのインセンティブが必要であり、また、「優良処理業者はここにいますよ」と、世間に広く伝えてあげる必要があります。

 

今回解説する内容は、そのための具体的なインセンティブについてです。

 

 

インセンティブ1 「収集運搬業の許可申請先を都道府県に集約か?」

 

このインセンティブは、優良処理業者かどうかに関係なく、等しく恩恵を受けることになりますが、現在は都道府県と政令市ごとに申請が必要な収集運搬業許可を、今後は都道府県知事に一本化しようというものです。

 

大阪府を例にとりますと、大阪府、大阪市、堺市、東大阪市、高槻市の5行政がありますが、今後は、「大阪市以外でも収集運搬をしますので、大阪府の許可をください」と言えば、大阪府全域で収集運搬ができるようになる予定です。

 

「予定」といったのは、政省令の改正がまだなされていないため、具体化はまったくしていないからです。

 

方向性としては、収集運搬業の許可申請先が減るのは間違いなさそうなので、後は政省令の改正を待つばかりです。

 

 

インセンティブ2 優良処理業者の許可期間を7年に延長

 

優良性を判断するための一定の基準を満たす処理業者には、原則5年の許可期間を、7年まで延長してあげましょう!
という有難い措置です。

 

インセンティブと呼ぶには、あまりにもショボ過ぎるメリットしかありませんが、「このようなメリットを付けることで、優良処理業者はもっと増えるだろう」という環境省の素直な考え方は尊重したいと思います。

 

優良性評価制度を揶揄しているように見えるかもしれませんが、その逆です。

 

メリットがほとんどない手続きなのに、積極的にそれを進めようという、志の高い処理企業に手を挙げさせる効果は大なるものがあります。

 

ちなみに、全国で優良と評価を受けた処理業者の数は、
2010年9月15日現在で、たったの352社でした。

産廃情報ネットで検索
http://www.sanpainet.or.jp/

 

8月15日時点では351社でしたので、1月の間に、1社も増えていたことになります!

 

逆に言うと、この352社は、メリットがほとんどない制度であっても、顧客から選んでいただける処理企業となるため、自主的に評価を受けた志の高い企業と言えます。

 

本当は、許可期間の2年間延長というほとんど意味の無いメリットよりも、優良業者の存在を社会的にもっとアピールし、評価を受けているかどうかで、仕事の取り方がまったく変わるように持っていく必要があります。

 

もちろん、IS●(←伏字)のように、形式上取得するだけの制度となっては意味がありませんので、優良という評価が適切かどうかは、常にチェックされ続けねばなりません。

 

このインセンティブも、政省令の改正によって実現される予定ですので、残念ながら、現時点ではまだ何も決まっていません・・・