
- 佐山 希人
- 佐山建築研究所 一級建築士事務所 代表取締役所長
- 建築家
対象:新築工事・施工
我が家は、3階建ての棟と2階建ての棟を2階部分でブリッジ状につないだH型のエレベーション。それぞれの棟の屋根に土を乗せて緑化している。今回の改修 工事で、外壁通気層を持たない2階棟の土台廻りの腐朽が発見され、外壁を改修することにした。その木部の思わぬ痛み具合を見て、3階棟の屋上下地の状態を どうしても確認したくなった。
この木造での屋上緑化は、北海道のM型屋根に大きなヒントをもらい絶対の自信を持って設計している。つま り、屋上の防水層と天井裏の断熱層の間に通気層をもうけ、3階の熱が防水層下地に結露させるなどの悪さをしないようにしている。その通気層は外壁の通気層 と一体化し、外壁の通気層の空気が動くとき屋根裏の空気も一緒に排出させるように念を入れた。そうすることで、結露あるいは万が一水が回った場合でも、自 然に乾燥状態に戻るようにしたのだ。また、その異常事態をすぐに目視できるように、断熱材の下地は3階の天井とし、生活しながら水の具合を観察できるよう にしている。
住み始めて14年間、決定的な異常事態は起こっていない。しかし、知らず知らずのうちにできていた水が回ったであろうシミや くろありの動き、5年前ほどから自生しているススキが、なんとなく不安をあおってきた。屋上の土出しは、足場をかけなければできない大工事である。今回の 改修時をのがすと次はいつになるかわからない。思い切って土を出し、その下地を確認することを決行したのだ。
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