- 岸上 昌史
- 株式会社ブレッツァ・アーキテクツ 代表取締役
- 宮城県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
私自身子育てをしていて、子供というのは創意工夫の天才じゃないかと思うことがよくあります。だからこそ子供には、単に子供部屋を与えるよりも、様々な空間や仕掛けを家の中にちりばめていった方が良いと考えています。家族の存在を常に感じられたほうが、家庭環境上も好ましいと思います。
家族の目が行き届く場所にスタディコーナーを設ける事がよくありますが、これは家事や宿題など、家族がそれぞれの事をしながらも、お互いの気配を感じたり会話が出来るという、緩い一体感と安心感が魅力となっています。
一枚目の写真は、4人の子供たちのためのスタディコーナーで、全部で13.5畳もあり、子供たち専用の空間となっています。ここは廊下の一部を広げたり、ちょっとした余白を利用したりするのではなく、初めから「オープンな子供部屋」という位置付けで計画され、大きな本棚や収納も造り付けました。リビングと一体感のある空間となっていて、いつでも家族の気配が感じられるようになっています。高い天井と大きな窓は、リビング吹き抜けに充分な光を導く役目も果たしています。
二枚目の写真は2階への動線上にある、家族誰でもが使えるスタディコーナーです。ダイニングの吹き抜けと外部の坪庭に挟まれ、ちょうど宙に浮いた格好になっており、明るく開放的な雰囲気になっています。キッチンの母親を見下ろすような子供の居場所を主にイメージして計画しましたが、雰囲気がとても良いので、大人の居場所としても最適です。
他にも様々なパターンが考えられますが、たとえ目的やカタチが違っても、一つの空間に居ながら家族同士適度な距離を保つ、あるいはつながっている、という仕掛けは家族にとって、とても大事なことだと思います。
(文・写真:ブレッツァ・アーキテクツ/岸上 昌史)
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