だいぶ前の話です。
当時はまだペットマンションって物があまり一般的ではなく、マンションと言えばペットは不可!と言う時代でした。
そんな時代に時代を先取りしてペットマンションを造ったことがあります。
建てた不動産屋さんとしては当時は大英断です、犬の足洗い場だとか猫の通り口だとか、バルコニーは広々とさせ、その横に犬小屋が置けるようサンルームなんかも造りました。
おかげさまで、当時としては結構高価なマンションになりましたが、時代を先駆けたためか、大好評となり、すぐに売れてしまったものです。
ところが・・・、
竣工、引き渡しをして、しばらくしたころクレームが来たんです。
雨漏りがひどい・・・。
なんと!そりゃ大変だ!
我々建築関係者は「雨漏り」と言う言葉を聞くと殺気が走ります・・。
しかも完成したばかりのマンションです、そんなばかな!
すぐに当事者の部屋に向かいます、確かにバルコニー面の壁がべたべた・・
バルコニーにはポタポタと上から水が落ちてくるじゃあないですか。
まいった!なんだこれは!どうしてだ?
でも・・・ちょっと待て、ここしばらく雨なんかまったく降ってないぞ?
では、配管漏れか?
ちょっとまて、こっち側には配管なんてまったくないぞ?
とにかくゼネコンの担当者達と屋根に上り、壁をたたき、徹底的に原因を調べます。
でも、まったく原因がわかりません。どんだけ調べても何にも出てきません。
おかしい?
その間もあいかわらず水がポタポタ・・・、ちょっとやそっとの量じゃありません。
どっから湧いて出てるんだこの水は?
あきらかに雨水ではない、だって雨降ってませんから・・、そこで上の階の部屋しか原因が考えられないということで、上階の部屋へ向かうことにしたんです。
インターホンを鳴らします、「ピンポーン」、「はーい!」奥さんが出てきます。
事情を説明し、「お宅様でどこか水が溢れたり、配管がはずれて水の流れ出る音がしたりしていませんか?」
「あらー大変ね、でもそんなことはありませんよ」
「すいませんがちょっと中を調べさせていただけませんでしょうか?」
「どうぞー!」
中に入り、配管なんかを見ていると・・、ゼネコンの担当者が・・。
「せっせっ先生! あれ! あれ! あれー!」
なんじゃと見ると・・。
バルコニーに巨大な錦鯉が泳いでる・・・!
嘘でしょ? なんでこんな所に錦鯉が見えるんだ? 夢かまぼろしか・・・?
バルコニーの雨水の排水口や隣との境の隙間を粘土か何かで埋めて、そこに水を張って・・50cmはあろうかという錦鯉が何匹も・・!
まじかよ!
ペット可マンションっていったって・・・!
それ以降、その不動産屋のペットマンションの規約に「錦鯉は不可!」という文面が追加されたのは言うまでもありません。
アトリエ繁建築設計事務所HP
http://homepage3.nifty.com/ateliershigeru/
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