不正行為に基づく抗弁の成立要件(第4回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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不正行為に基づく抗弁の成立要件(第4回)

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不正行為に基づく抗弁の成立要件

~自社関連出願の「重要性」と「欺く意図」~ (第4回)

Shanghai Meihao Electric Inc.,
Plaintiff Appellee,
v.
Leviton Manufacturing Company, Inc., et al.,
Defendant-Appellant.

河野特許事務所 2010年9月21日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 米国特許法第102条(f)は以下のとおり規定している。

第102 条 特許要件;新規性及び特許を受ける権利の喪失
次の各項の1 に該当するときを除き,人は特許を受ける権利を有するものとする。
(f)当該人自身が,特許を得ようとする主題を発明していなかった場合*6


 出願が早い優先日を有するとしても、審査官はどの発明者が現実にアイデアを考え出したかを評価しなければならない*7。Germain出願から特定のクレームが、766特許へコピーされており、しかも両出願の発明者は相違する。これは、766特許に記載された発明者がクレームされた法定主題を発明していなかった可能性があることを示唆している。

 審査官は、異なるL社従業員が同一クレームにて同一法定主題についてそれぞれ最先の発明者を主張していることに気付いた場合、審査官は発明者が誰であるかについて、米国特許法第102条(f)の規定に基づき問題を提起するであろう。

 以上の理由により、CAFCは審査過程におけるGermain出願は重要であると判断した。

(2)ダブルパテント(米国特許法101条)
 CAFCは審査官がダブルパテント(米国特許法第101条)の規定に基づき、暫定拒絶を導くことからGermain出願は重要であると判断した。

 ダブルパテント禁止の根拠規定は、米国特許法第101条である。米国特許法第101条の規定は以下のとおり。

第101 条 特許を受けることができる発明
新規かつ有用な方法,機械,製造物若しくは組成物,又はそれについての新規かつ有用な改良を発明又は発見した者は,本法の定める条件及び要件に従って,それについての特許を取得することができる(may obtain a patent)*8


 審査官は、同一譲渡人L社がなした、Germain出願及び766特許に係る出願に対し、ダブルパテントを理由として暫定拒絶(provisional rejection)を通知する*9こととなる。もっとも、766特許は先願であるため、他の拒絶理由が解消した場合、特許すべく暫定拒絶は取り下げられる。しかしながら、PTOは766特許を、ダブルパテントを理由に暫定拒絶していたに相違ないことから、CAFCは、Germain出願は審査過程において重要と判断した。

                                         (第5回へ続く)

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