- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
とある、住宅建設中の話し・・・。
ある日のこと、プルプルだかリーンだか忘れましたが電話が鳴りました。そこで電話に出ると・・、今建設中の某住宅の現場監督からです。
「せんせーい!現場が燃えてます!」・・・当方絶句!
「な、な、な、なんだってー!」
「あっ!もう消えましたが・・」
「それで、何が燃えた?」
「ユニットバスが燃えちゃいました!」・・・うそでしょ?まじかよ?
私は、他の仕事全てほっぽり出して現場にすっ飛んで行きます。
現場は消防署の現場検証の真っ最中・・・。あーやべ!
幸い、消防さんが来る前に火は消し止めていたので、消防に無茶苦茶にされずにはすみましたが・・
消防さんの放水で消火されると中は水圧でめちゃくちゃになってしまうんですよ。
こっぴどく説教されて・・。
その後は、今度はこっちが現場員を全員集めて説教です。あーむかつく。
原因は、溶接の火花でした。
鉄骨造の住宅の2階の胴縁の直しをしていて、火花が階下にポンと1個だけ飛んでしまった・・、当然廻りは養生してそういうことの無いように注意していたようですが、養生シートがほんの少し風でめくれた所に偶然入ってしまったようです。
溶接の火は粘着性がありますので、それがユニットバスに付いてしまったんです。しばらくは発火しないので、作業員や監督達は気づかずに別の所で作業してて、・・なんか臭うぞ?・・で、ユニットバスの扉を開けてみると中はドロドロ・・。
と、いうことだったようです。
ああ、ユニットバスって燃えますから、プラスチック系の建材はみんな燃えます、注意しましょうね。
ある意味、鉄骨造でよかった。木造だったらと考えるとぞっとします。まあ、木造なら逆にそんなところを溶接することなどないのですが・・。
お施主さんが誰も怪我が無くて良かった良かった、きちんと直してちょうだいね、というだけで、あんまり気にされなかったのが本当に幸いです。
実は現場とゆう所はけっこう火事やぼやの多いところです。
溶接や金属の切り出し、熱鏝、塗装やエアカッターなどのコンプレッサーや発電機、冬季の暖房などなどの火気が非常に多い。そして、完成すれば外部は燃えにくくなりますが、造ってる最中はそこら中が燃える物だらけ、その上木っ端や切りくずなどのゴミが作業中はそこいら中に散乱していますし。
そういった時に強い風が吹いてゴミが飛び暖房に入ったり、溶接の火花が飛んで木部なんかに付いたり・・。泥棒さんにねらわれやすいのと同じで、入りやすく隠れやすいので放火なんかもとても多いんです。
そこで、通常工務店は現場火災保険という物に入っています。大きい現場の場合は現場毎に入ります。住宅などの場合は、工務店が1年毎にまとめて入っているのが通常です。そして、けっこう現場は火事が多い・・
つまりこの火災保険はけっこう高額なんですよね。
そして、逆に考えると、この保険代はお客さんが工事費で払っていることになりますから、異常に安い工事費というのは、こういう物も省かれていることが多かったりします・・しかし・・ね!。
私達の事務所の場合、工事にはこの火災保険加入を義務付けています。契約後、その証書のコピーを提出させます。
おかげさまで、この現場では、工務店が保険を使ってユニットバスから廻りまですっかり綺麗に直すことが出来ました。
工期も幸い若干の遅れだけで済みました。
あって良かった火災保険、転ばぬ先の杖・・です?
アトリエ繁建築設計事務所HP
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