- 中山 幹男
- 株式会社A&Mコンサルト 代表取締役
- 大阪府
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
あるセミナーでES(従業員満足度)調査によって満足度をはかり、組織活性化を実現する内容の講演を聞いた。
従業員満足度を [1]会社との関係 [2]上司との関係 [3]仕事の内容 [4]職場環境 [5]制度の観点 で測定し、組織活性化に結びつける内容である。
最近、企業内で顧客満足度の話とあわせて、従業員満足度向上のテーマがよくでる。各企業がモラルサーベイと称して従業員満足度のアンケートを取り、組織の活性化に取り組みだした。
なぜこの現象が最近出だしたかと考えてみると高度成長期の日本の企業はもともと、終身雇用制度、社員旅行、保養所施設等組織の和、コミュニケーションを大事にする仕組みが色々あり、意識しなくても従業員満足を果たせていた。私も自動車メーカ設計部隊の勤務時代は徹夜等の忙しい仕事の中で週末になると部下と飲ミニケーションを図り、仕事の達成感、悩み等を共有し、仕事をしていた記憶がある。
しかし、バブルが崩壊し、高度成長期が終わると、企業の体質改革の為に組織の効率化が最優先され、人員削減、能力主義の人事制度への変換等により、組織がギスギスし組織内コミュニケーションの低下現象が発生し、またアメリカの経営学者ドラッカーも指摘していたように労働人口の中心が肉体労働者から知識労働者に変わり、従業員の仕事に対する価値観が報酬より仕事の内容に対する働きがいに変化した。この事により意図的な従業員の満足度向上の仕掛けが必要になった事が要因と考える。
人・もの・資金・情報・技術の経営資源の中で「経営は人なり」の言葉にあるように人材が最も重要でこの人材の一人一人がいきいきと自立的に働くような組織体があってはじめて経営の成果が出ると考える。その為には、良い制度・仕組みだけではなく会社のビジョン、戦略が共有されている事、上司・部下とのコミュニケーションができている事、仕事の内容に働きがいがある事、組織の構成員に仲間意識がある事が必要と考える。
現場でコンサルティングをしている時に従業員満足度が低い組織体に出くわす事がある。トップからは改善・改革を指示されているが組織にやる気がない。形だけこなす対応をする。結果として成果が中々でない。これは、会社のビジョン、戦略の共有、コミュニケーション、仕事の内容、組織体の仲間意識、人事制度・仕組みのいずれかに問題があり従業員満足度が低下しているからだと思う。
今後は、企業の改革の視点「経営戦略構築、ビジネスプロセス改革、企業風土改革」に「従業員満足度」の視点を加えて問題をとらえ、コンサルティングを実施していくべきと考えさせられた1日であった。
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