- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
建築家になるには、色々な方法がありますが、まあ一番普通なのは建築の大学を出て、設計事務所に勤めて実力を付けてから独立することでしょう。
大学の建築科に入る人間のほとんどは、大抵が最初は建築家になることを夢見ているのですが、就職するときに設計事務所に進むのは若干名、というのが普通です。
自分の適応や将来の生活などを真剣に考えるようになって、就職することが現実的になってくることが進む道を決めていっているような気がします。
ただ・・
これって、設計事務所に行く奴は 変な奴 ばっかになっていくってことでもあるような?
ある意味、あきらめが悪い奴とか、頑固な奴とか、建築が好きで好きで自分の生活のことなど考えもしない奴とか・・。
設計事務所の給料は本当に小遣いみたいに安いのが普通です。「弟子」的な考え方がまだ残っているからで、それも修行のうち。私の大学の先輩で有名な建築家T先生の事務所に就職した先輩の初任給は、3万円だったそうです。
かく言う私も初任給は8万円でした。一人前になったと認められてからは、一年に数万円単位で上がっていきますが・・・。
結婚なんて逆立ちしたって出来やしない・・
デートだって無理かも・・
私が修行していた設計事務所は、所員20人ほどのアトリエ型設計事務所としては大規模な事務所だったのですが、毎朝みんなで喫茶店に行ってミーティングをしていました。実際にはお茶するだけなんですが・・・。
設計事務所というのは、昼は現場や打ち合わせや役所行きなどの仕事をしていて、夜図面を描くことが多く、終電なんて当たり前、会社泊まりも当たり前、その分朝遅いところが多いんです。私の事務所も業務はAM10:00からでした。
そこでね、まあ朝から仕事の奴もいるんで、だいたい平均10人くらいが毎日その喫茶店に行くんですけど、普通はこれだけ毎日来ると超お得意さんなんですが、我々は店員に嫌われる嫌われる・・。
何でかって言うと、
「俺ホット!僕はレモンティ!私今日はレモネード!じゃあおいらはキリマンジャロね!・・・」
みんな絶対に同じもんを頼まない・・・
所長とかが居ると、「おまえらホットの奴は手上げろ!他はアイスコーヒーでいいな!」とか言うんですが、絶対にそんなことにはならない。
「いえ、僕は今日アイスティーにします!」「私おなかの調子が悪いんでミルクにして下さい」って。
なんのことはない、どいつもこいつも人と一緒が嫌なんです。
まあ私もその中の一人なんですが・・・。
ある年の春、新入所員が入ってきてしばらくしたころ、彼が言いました。
「先輩、ここに来て自分がすっごい 普通の人間 なんだってわかりました!」。
私は言います、
「ばーか、おまえが一番 変な奴 じゃん!」
変な奴というか、 個性の強い 奴ばっか・・
Atelier繁建築設計事務所HPへもどうぞ
http://homepage3.nifty.com/ateliershigeru/
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