- 飯田 幸洋
- 飯田幸洋税理士事務所 所長
- 東京都
- 税理士
対象:財務・資金調達
損益計算書上、
「利益」を出している会社が
資金不足となり倒産することがある。
なぜであろうか。
儲かっているはずなのに。
【 黒字倒産とは 】
簡単な例で説明すると
当初1,000万円の現金をもっていた会社が
A・1月に商品を掛けで1,200万円売り、
( 売掛金 1,200 / 売上 1,200 )
B・2月に仕入代金を現金で1,000万円支払ったとする。
( 仕入 1,000 / 現金 1,000 )
3月決算の会社で掛けの入金が 6月の場合、
損益計算書では
売上 ( A・1,200万円 ) - 仕入 ( B・1,000万円 ) となり
200万円の利益となる。
利益が出ているのに会社に現金はなく、
不足分を借入できなければ
資金繰りがつかず倒産ということもある。
これが黒字倒産といわれ、
売上や仕入は発生という時点で計上される一方
実際の入金とはズレがあることによる。
損益計算書に反映されない「借入金の返済」
が多額の会社もその可能性がある。
【 資金繰り表とキャッシュフロー計算書 】
それを防ぐには
資金繰り表やキャッシュフロー計算書の作成が
重要となってくる。
貸借対照表や損益計算書が発生主義で
計算されるのに対し、
資金繰り表やキャッシュフロー計算書は
現金の出入り、すなわち回収や支払い時点で
計上される。
資金繰り表は、
どの会社でも作成しているものであるが、
過去の実績をもとに、
現金売上や売掛金の入金予定、
経費や買掛金・借入金の支払いなど
一定期間の資金の流れを予測することで
将来に備えるために作成する重要な表である。
資金不足とならないように
残高がいくらあるかを重視する。
ところが、資金繰り表では
■ なぜ資金が足りないのか
■ どこに問題があるのか
という原因分析ができない。
その分析ツールとして
キャッシュフロー計算書がある。
キャッシュフロー計算書では資金の流れを
1. 本業でどれだけ資金を稼いだかを示す
「営業活動によるキャッシュフロー」
2. 固定資産の取得や売却などを示す
「投資活動によるキャッシュフロー」
3. 増資や借入金など資金の調達と返済を示す
「財務活動によるキャッシュフロー」
に分け、それぞれの区分ごとに分析する。
この計算書により、
資金がどのようにして増えたのか減ったのか、
どこに問題があるのかという分析ができる。
■ 赤字経営なのか
■ 在庫が過大なのか
■ 設備投資は適正か
■ 売掛金の回収が遅れているのか
資金繰りで厳しい状態でも
原因がわかれば
改善策を講じられるのである。
景気が後退している現在
ますます重要性が増している。
一度作成されることをお薦めしたい。
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