- 浅井 佳
- 不動産サイト R-STORE (アールストア) | Rな視点で物件探し 代表取締役
- 東京都
- 宅地建物取引主任者
新築住宅はつくってはいけません!
こう言われたら、どう思いますか?
でも、新築の方が良い。中古住宅は気味がわるい。いやいや・・・・
実は興味深い試算があります。
世間では、あまり報じられることはありませんが、デベや建設業界が唱えている「年間新築100万戸」の目標。このペースで建て続けると、2040年には空家率が40%を超えます。10件に4件は空家ということです。野村総研の試算です。
旧東独と西独が統合された際に東独から西独へ人が大量に流れ、東独の市街地の空家率が30%を超えました。その際にわかったことですが、30%を超えると、水道や下水などの都市インフラの効率が極端に落ち、都市機能が成り立たなくなる恐れがあります。
それ以前に、ひとつのマンションで考えたとき、40%が空家だと思うと、それはもう廃墟ですよね。
安全、治安などの問題にも深刻な影響を及ぼします。
今後の不動産業界は、この空家問題をどう解決していくか、そこがトピックの一つになると思います。
私の意見は「新築着工件数の制限」、そして「古家や性能の低い住宅の積極的滅失」の2つです。
知られざる日本の空家問題。
なぜ、そうなるか?理由は簡単。日本には既に世帯数5000万を超える5700万戸の既存住宅があるからです。そして、もう一つ。日本は人口減少社会に突入していくからです。
世帯数は減っているのに、今までと同じペースで新築が成立するはずはないのです。
考えてみれば当たり前のことです。
新築ではなくストックの活用。新築するならば、古家の滅失とセット。そう考えていかなければ空家問題は解決していきません。
それには少々荒療治も必要です。新築の着工を制限すれば、デベやゼネコンの雇用の問題にも波及するでしょう。問題は非常に複雑です。
し かし、今までのやり方が成立しない時代に入ったことだけは確かです。大きく言えば日本全体の産業構造の転換が問われていると言ってもよいでしょう。土建国 家からの脱皮です。不動産も土建業ではなく、サービス業に転換せざるを得ないでしょう。新たなソフト、新たな付加価値、新たなサービスの提供が求められて います。
日本人は新築信仰が根強いと言われています。何故かはわかりません。
しかし、以前に比べ中古住宅にも良質なものは多くなっています。
新築からストックへ。すでに猶予はありません。
実はこれらの問題を討議する「ハ会」というシンポジウムがあります。ツイッター上で日本の住宅事情を憂える有志が集まって発足した「ハ会(hakai)」。(慣習や既得権益を破壊するという主旨で名づけられています。少々過激。)
第2回は「新築」をテーマに2010/7/27の開催です。全4回の連続シンポジウムです。
パネリストは
ReBITAの内山さん、ブルスタの大島さん、インテリックス住宅販売の樽さん、建築家の田嶋さん、同じく建築家の佐々木さん、さくら事務所の長嶋さん、リクルート住宅総研の矢部さん。モデレーターはリクルート住宅総研の島原さん、ブルスタの石井さん。
と時代を切り開いてきたそうそうたるメンバー。
私も若輩者ながら、パネラーとして名を連ねさせていただいております。
2010年7月27日開催の「ハ会」シンポジウム。当日参加も可能です。
ぜひ、この問題を考えるきっかけにしてみてください。
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