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対象:特許・商標・著作権
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ビジネス関連発明の特許性
~人民法院による特許性の判断~ (第1回)
Micro Motion Inc.,(米国)
原告
v.
知識産権局復審委員会
被告
河野特許事務所 2010年7月27日 執筆者:弁理士 河野 英仁
1.概要
ビジネス関連発明(以下、BM関連発明という)は、コンピュータ関連発明(以下、CS関連発明という)の一種であり、中国で特許を取得するためには、CS関連発明と同じく法上の発明であること及び非特許事由に該当しないことが必要とされる。
専利法第2条第2項*1は法上の発明について以下のとおり規定している。
「専利法第2 条
2.発明とは製品,方法またはその改良について提出された新しい技術案をいう。」
また、非特許事由について専利法第25条は以下を列挙している。
「専利法第25 条
1.下記各号に掲げるものに対しては,特許権を
付与しない。・・
(二)知的活動の規則と方法」
これ以上のことは、専利法には何ら規定されておらず、CS関連発明及びBM関連発明は、審査指南第2部分第一章「特許権を付与しない出願」及び審査指南第2部分第九章「コンピュータプログラム関連発明特許出願審査の若干規定」に則って行われる。このうち最も重要な審査指南第2部分第九章に、審査には所謂技術三要素判断が用いられる旨規定されている。
この技術三要素判断とは、請求項に係る発明が、技術的課題を解決するために、技術手段を用いて技術的効果を得る場合に、専利法第2条第2項にいう「技術案」と認める判断手法をいう。
逆に言えば、商業的な課題を解決するもの、商業的手段を用いるもの、または、商業的な効果しか奏さないものは専利法第2条第2項にいう「技術案」とはならない。
本事件においては、復審委員会は専利法第2条第2項にいう「技術案」に該当しないとの決定*2をなした。特許出願人はこれを不服として北京市第一中級人民法院へ提訴した。中級人民法院は、本願の課題は、技術的課題ではなく管理上の問題であり、請求項に係る発明も技術性がないとして、専利法第2条第2項にいう「技術案」に該当しないとした復審委員会の決定を維持する判決をなした*3。
(第2回へ続く)
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