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対象:特許・商標・著作権
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プリアンブルの記載と特許性
~プリアンブルに使用目的を記載しても新規性は主張できない~ (第3回)
Jeffrey Griffin., et al.,
Plaintiffs Appellants,
v.
Heidi Marrin., et al.,
Defendants-Appellees.
河野特許事務所 2010年7月23日 執筆者:弁理士 河野 英仁
3.CAFCでの争点
プリアンブルに発明の目的を記載することで新規性を主張できるか否か?
米国特許法第102条(b)は以下のとおり規定している。
第102 条 特許要件;新規性及び特許を受ける権利の喪失
次の各項の1 に該当するときを除き,人は特許を受ける権利を有するものとする。
(b) その発明が,合衆国における特許出願日前1 年より前に,合衆国若しくは外国において特許を受けた若しくは刊行物に記載されたか,又は合衆国において公然実施若しくは販売された場合
最も近い先行技術は、Malinovtz特許(U.S. Patent No. 4,241,943)である。以下にMalinovtz特許の概要を説明する。参考図3はMalinovtz特許のFIG.1である。
参考図3 Malinovtz特許のFIG.1
Malinovtz特許はスクラッチオフ技術を用いた駐車券を開示している。道路脇には1時間を限度に駐車を認めるパーキングメータが設置されている。Malinovtz特許の駐車券はこのパーキングメータに利用するものである。
ドライバーは駐車券の年月日をスクラッチオフすると共に、現在時間をスクラッチオフする。例えば午前9時5分に駐車した場合、「9:00-9:15」の部分13をスクラッチオフする。スクラッチオフにより、1時間後の10:15分が表れる。ドライバーは10時15分まで自動車を駐車することができると認識することができる。
参考図3の例では、ドライバーは「11:30-11:45」の間に駐車したことから、駐車可能時間として着色された1時間後の「12:45」が表示されている。
クレーム1に係る発明の構成要件と、Malinovtz特許とを比較した場合、Malinovtz特許には、クレーム1に係る発明のボディは全て開示されている。唯一の相違点は、プリアンブルの
「筆記具の使用なしにユーザにラベル上に記入することを可能(for permitting)とする」の部分のみである。プリアンブルには、「発明の目的または使用目的」が記載されており、このプリアンブルの「発明の目的または使用目的」が、先行技術と相違する場合に、新規性を有するか否かが問題となった。
(第4回へ続く)
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