プリアンブルの記載と特許性(第2回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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プリアンブルの記載と特許性(第2回)

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プリアンブルの記載と特許性

~プリアンブルに使用目的を記載しても新規性は主張できない~ (第2回)

Jeffrey Griffin., et al.,
Plaintiffs Appellants,
v.
Heidi Marrin., et al.,
Defendants-Appellees.

河野特許事務所 2010年7月23日 執筆者:弁理士  河野 英仁

参考図1は448特許のFIG.1である。参考図2はスクラッチオフラベル20を示す斜視図及び断面図である。


参考図1 448特許のFIG.1


参考図2 スクラッチオフラベル20を示す斜視図及び断面図


 スクラッチオフラベル20は容器10の外面に貼り付けられる。スクラッチオフラベル20は、スクラッチオフコーティング60、スクラッチライン30、着色基層40、接着剤コーティング50、及び裏貼り70を含む。

 パーティーに参加するユーザは、コインまたは爪を用いてスクラッチオフコーティング60を削り、自身の名前を刻む。これにより、着色基層40により、着色されたスクラッチライン30が形成される。ユーザは裏貼り70を剥がし、自身の容器10に接着剤コーティング50を介してスクラッチオフラベル70を容器に貼り付ける。これにより、筆記具を用いずとも、ラベル上に名前を記入し、自身の容器を特定することができるのである。

 449特許のクレーム1は以下のとおりである*1
1. 筆記具の使用なしにユーザにラベル上に記入することを可能とするスクラッチオフラベルにおいて、
ユーザに視認可能に着色された手前側、及び、奥側を有する常設の基部と、 前記基部の手前側の色と対比して目立つ色を有するスクラッチオフ非透過部材コーティングを備え、前記コーティングは、前記基部の手前側上に、前記基部の色を目立たなくするために十分な厚みをもって直接塗布され、スクラッチされた場合に、前記基部の手前側の色が現れる。

(2)訴訟の経緯
 Marrin(以下、被告という)はラベル及び当該ラベルを貼り付けた容器を、特許権者から448特許のライセンスを受けて販売していた。ライセンス交渉のもつれから、2006年4月11日特許権者は被告に対するライセンスを終了した。被告は特許無効を求めてカリフォルニア州連邦地方裁判所へ提訴した。一方、特許権者は逆に特許権侵害であるとして被告を訴えた。両審理は併合された。

 地裁は、8つの先行技術から予期できる(以下、新規性がない)として、米国特許法第102条(b)*2の規定に基づき、特許無効との判決をなした。ボディ部分は全て先行技術に開示されており、相違点はプリアンブルだけである。特許権者側はこれを不服として控訴した。

                                   (第3回へ続く)

 
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