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対象:特許・商標・著作権
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プリアンブルの記載と特許性
~プリアンブルに使用目的を記載しても新規性は主張できない~ (第1回)
Jeffrey Griffin., et al.,
Plaintiffs Appellants,
v.
Heidi Marrin., et al.,
Defendants-Appellees.
河野特許事務所 2010年7月22日 執筆者:弁理士 河野 英仁
1.概要
米国式のクレームは一般に、プリアンブル、移行部及びボディの3要素により構成される。プリアンブルには発明の前提となる事項及びカテゴリーを記載し、ボディには、発明を特徴付ける構成要件を列記する。移行部は、例えばcomprising, includingまたはconsisting of等が用いられ、プリアンブルとボディとを接続する機能を果たす。
代表的なクレーム形式は図のとおりである。
クレームされた発明が特許性を有するか否かは、プリアンブルの記載を含めクレーム全体の記載に基づき判断されるのが大原則である。本事件ではクレームのプリアンブルに発明の使用目的が記載されていた。先行技術には、ボディ部分と同一の技術が開示されており、相違点はプリアンブルに記載された発明の使用目的だけであった。
特許権者は使用目的が相違し、クレーム発明は先行技術から予期できるものではないと主張した。CAFCは、プリアンブルにおける目的、使用目的は発明の構成要件ではないと判断し、ボディに先行技術に対応する事項が全て開示されているとして特許を無効とする判決をした。
2.背景
(1)特許の内容
Griffin(以下、特許権者という)は、飲み物の容器またはコップにスクラッチオフラベル(Scratch-off Label)を用いるアイデアを発明した。立食パーティーでは、料理を取りに行ってテーブルに戻った際、テーブルにおいた自分のコップがどれか分からなくなることが多い。本発明はこのような問題を解消すべく、容器またはコップにスクラッチオフラベルを貼り付けることとしたものである。
特許権者は、1991年4月に特許出願を行い1992年に「スクラッチオフマーキングラベル」とするU.S. Patent No. 5,154,448(以下、448特許という)を成立させた。
(第2回へ続く)
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