寄与侵害の適用要件(第7回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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寄与侵害の適用要件(第7回)

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寄与侵害の適用要件

~侵害誘発に対する主体的要件とマーキングトロールの出現~ (第7回)

SEB S.A., et al.,
Plaintiff/ Counterclaim Defendant-Cross Appellant,
v.
Montgomery Ward & Co., Inc., et al.,
Defendant/ Counterclaimant-Appellant.

河野特許事務所 2010年7月21日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 しかしながら、515特許は、原告製品をカバーするものではなかった。被告は、特許非侵害を主張すると共に、原告の虚偽表示を主張した。ここで問題となったのは、罰金の計算方法である。

 米国特許法第292条は以下のように規定している。
「特許されていない物品に「特許」の文言・・または番号を表示し,・・その目的が公衆を欺くことにあった場合、・・・当該人は,個々の違反行為について$500以下の罰金を科せられる。」

 「個々の違反行為」が、虚偽表示に対する不法行為(offense)毎、すなわち虚偽表示をするという決定毎に$500以下の罰金が科せられるのか、或いは、製品毎に$500以下の罰金が科せられるのかが問題となった。

 従来の判例ではこの点が明確ではなかった。後者であるとすれば、大量生産を行う製品に関し虚偽表示があった場合、罰金額は莫大となる。CAFCは、Forest事件において、米国特許法第292条には文言上「物品に文言を表示した場合、・・行為について罰金を科せられる」と規定されていることから、製品毎に$500の罰金が科せられるべきと判示した。

 Forest事件後、マーキングトロール(Marking Troll)と称される団体による訴訟が増加している。米国特許法第292条(b)に規定しているとおり、第3者は特許権者を相手取り訴訟(qui tam action:私人による代理訴訟)を行うことができ、罰金の50%は当該第3者の取り分となるからである。米国で販売する製品に特許番号を表示している場合、特許が当該製品を真にカバーするか、存続期間が満了した特許が存在しないか、または、放棄した特許が存在しないかを再確認する必要がある。

判決 2010年2月5日

                                  (第8回へ続く)

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