歌の力 (サザンに助けられる)
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2010-01-27 06:31
ただ、一度だけ桑田さんの歌に助けられたことはありました。
忘れもしない、あれはまだ私が上海に来たばかりの頃。
中国語もぜんぜんできず、不安がいっぱい。
タクシーに乗るのも恐怖だった頃、3人の子どもを連れて、夜、買い物に出かけました。
タクシーの運転手には、漢字で行き先を書いた紙を見せました。
ところが、タクシーが向かっている先は、私の知ってるスーパーとは違う方向。
しかも、どんどん見たことのない景色の、遠い所に向かっている。
メーターの金額もどんどん上がってる。
「どうしよう・・・」「なんて言おう・・・」
心臓がドキドキして、手に汗にぎってしまいました。
その時、タクシーのラジオから、あの聞き覚えのある日本語の歌が流れてきたんです。
それが、サザンの『真夏の果実』でした。
♪四六時中も好きといって〜
夢の中へ連れていって〜
忘れられないHeart & Soul 声にならない♪
これを聞いた瞬間、私の中の勇気のスイッチが「ピキッ」とONになりました。
そしてこの悪徳タクシー運転手に向かって
「ちょっとあんた!停まりなさいよー」
と〔日本語で〕言ってやったんです。
その後、素早くドアを開けて、子ども達を路肩に非難させ・・・。
助手席に10元札を投げ捨てて、逃げました。
歌には、力がある。
母国語には、力がある。
一度だけ、サザンの歌に助けられた一件でした。