貧しさの中でも、母親には凛としていて欲しい - コラム - 専門家プロファイル

宮本 ゆかり
マイウェイネットワーク 
ビジネススキル講師

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閲覧数順 2024年04月23日更新

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貧しさの中でも、母親には凛としていて欲しい

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上海は、経済発展した大都会のイメージばかりが先行しつつありますが、まだまだ貧しさが目につきます。

初めて上海の夜景を楽しもうと繁華街に出た時のこと。
そこは国内外からの観光客でいっぱいでした。

そこで私は目に焼きついて離れない光景を見たのです。
深夜、何組かの母と子が、地べたに座り込んで、物乞いをしていました。
子ども達は生後数ヶ月の赤ちゃんから2歳ぐらいまでの乳幼児です。
おそらく母親は、小さな子どもを連れていれば同情を買えると思っているのでしょう。
中には眠そうに目をこすっている子どもの手を引きながら、通行人にせびるように近寄っていく母親もいました。

その様子はあまりにも惨めで痛々しく、胸が絞めつけられるような思いがしました。
子ども達があまりにも可愛そうすぎます。

私が辛かったのは、貧しさ自体ではなく、物心ついたばかりの子どもが、まず目にし記憶に残す母親の姿です。
母親のように、人様に媚びる乞食をすれば恵んでもらえるという価値観が子どもの心に刷り込まれはしないかと思い、胸が詰まったのです。

こんな状況から、どうやって子ども達は未来に対する希望や前向きな気持ち(自尊心・自信・信頼・勇気など)をもつ人間に育っていくことができるでしょう。

過酷な人生かもしれないけれど、せめて五体満足の体があるのなら、母親たちには、掃除婦でも廃品回収でも農業でも、何でもいいから自ら働いて自立していく姿を子ども達に見せて欲しいと思いました。

私の主人は40数年前に貧しい中国の農村で生まれ育ちましたが、どんなに貧しくても両親は乞食にはなりませんでした。
小学校も出ていない文盲の母ではありますが、母は(主人を含む)4人の子ども達にたっぷり愛情を注ぎ、人間としてのあり方を教えました。
決して未来に希望を失わず、貧しい中でも近隣の人々に分け与える姿を子ども達に見せました(今では4人とも立派に自立しています)。

生き方を教える「教育」さえあれば、人は変わり、チャンスを掴んで人生をより良くしていける可能性があると思うのです。