明け方、夢を見た。
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2009-06-30 12:20
戦争から町に帰ってきて、我が家の前で、5才になった我が娘に会った。
男の子みたいに紺色の甚平を着ていて、畑から採った細いゴボウを持って、家に入るところのよう、
そこで目が合った。あっけにとられてこちらを見ている。
おとうさんが戦争に捕られてしまったばかりに、
こんな小さな子が毎日ひとりで自分のことをして、けなげにちゃんと生きていた。
多少は近所の親戚のおばさんの世話にもなったりしたのだろうけど、
こんなに小さいのに、本当によくやったね。今日までよく頑張ったね。
おとうさん、もう帰ってきたからね。もう何ものにもおびやかされることはなくなったんだよ。
オデコとオデコを押し付けて、ほっぺの匂いを嗅ぎ、うんと抱きしめた。
さぁこれから、うんと幸せなろう。今までの分もうんと幸せにしてあげるからな。
戦争が終わったんだから、これからは頑張って頑張って汗をかいただけ、幸せが自分のものになる。
痩せた小さな畑と古ぼけた家しかない町だって、この土の下にはいくらでも小銭が埋まっているようなものだ。
いくらでも汗をかこう。掘って掘っていっぱい幸せになろう。
頭の中がぼやーっと覚めてきて、横を見ると娘が寝てる。お地蔵さんみたいな顔して、甚平姿で、大の字に。
夢の中でそれは現実のことだったから、ものすごい実感がまだ体に残ってる。
何ものにもおびやかされない、家族と一緒にいる、なーんにも持ってはいないけど、
ジャマするものもなーんにもなく、地面が広がって、ただ自由だけたっぷりある。
・・・なんだ、それだけあったら充分すぎるほど、素晴らしいじゃないか。
いま「生きにくい世の中」なわけがない。じいさん達は戦争させられてきたんだもの。
僕らはどんなことでも頑張った分だけ、すべて自分のものにできる。
そういえば、夢にはカミさん登場しなかったなぁ・・・。
まぁいいか。
ヘンテコだけどすごくいい夢を、今朝みたんだよ。
なんだか、新しい世界に生まれ変わったみたいに、いま気分がいいんだよ。
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このコラムの執筆専門家
- 須永 豪
- (長野県 / 建築家)
- 須永豪・サバイバルデザイン
響きあう木の空間
森や山と人、地球が健全に回っていく様子を見届けたい。 木を街に届け人の営みに森をもたらし木が、森が、地球が、生命が、人が、そして星々や宇宙までもが響あいはじめるそんな木の建築空間宇宙の意図が起動する響きあう木の空間をつくろう