こんなタクシーの運転手って?
-
2009-05-18 21:00
上野から吉原までタクシーに乗ったが、その運転手が面白い。
「吉原大門まで」
「吉原の中でなくていいんですか?(笑)私が学生の頃、遊んでいたときは400軒くらいあったんだけど、今は150軒しかなくなってねぇ。この前ビルの検査をする人に会って、一番新しいビルは何年前に建ったの?って聞いたら、20年前だって。もう減るばっかりで、どうなっちゃうんだろうね。吉原がなくなったら性病が増えますよ。あそこは強制的に検査してますから安心だけど・・・。」から始まって、
目白の腎張(じんばり:腎虚の反対で性豪のこと)のお客さんの話をされる。
57才のお客は、毎週吉原に火木土と通っていて送っていくとのこと。しかも奥さんが38で熱海に妾がいる云々。
さらにその後が面白い。
「私は5年前に日本に帰ってきたんですが、また日本を出るんですよ。家族も純粋な日本人ですが、フランスにいるんですが、私も二つ仕事をしてるんです。想像できない仕事だと思いますよ」
(フランス?とてもそんな風貌に見えない!)
「へ〜、良ければ教えてください」
「柔道の講師をしてまして、20年来オリンピックにも関わってるんです」
(柔道?たしかに体は柔道っぽい、フランスは柔道盛んだし、あり得るかも?)
「もう一つは?」
「東京理科大学の基礎工学部を出て、もう一つ学校に行きたくて2カ所のフランス語の学校に行って、ソルボンヌ大学を受けたら間違って合格したんです」
「え〜、そうなんですか、僕も理科大卒業しました」
「え〜っ!、そうなんですか?」(やたら驚かれる)
「家内とははソルボンヌ大学で知り合って、内科の医者をやってまして、私は外科の医者なんです。お腹に小さな穴を開けて体に負担のない手術をするというのを、もう280例になります。」
「なんで、日本に?」
「子供が日本の生活を知らないので、大学は日本に行くか?って言ったらそうするって言うんで、帰ってきたんですよ。それで父親が働いている姿を見せた方が良いと思って、仕事を考えたんですが、東京の街が変わっているのを見ようと思って5年前にタクシーの運転手の資格をとったんです。」
(そんな理由でタクシーの運転手になる人がいるんだ〜)
「またフランスに戻るとのことですけど、手術の腕が鈍りませんか?」
「いまも2ヶ月に一度、患者さんが集まると手術に行ってるんです。」
(う〜ん、不思議な生活)
「しかし、小説になりそうな生き方ですね」
「良くそんな話があるんですが、そう言うのは嫌いで丁重にお断りしてます。オリンピックの時なども取材の依頼が多いんですが、お断りしてます・・・」
そんなこんなで吉原大門に到着。もっと話を聞きたいけど、残念。しかし楽しめた。