振り子な世界 - コラム - 専門家プロファイル

小坂 淳
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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振り子な世界

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振り子な世界


日本に限らず、世界的にもよくあることですが、
政策が振り子のように一気に反対に動くことがあります。

日本ではベンチャーIPO市場がまさにそうで、
2000年直前市場開設で一気に盛り上がり、一時期落ち込んだが、
また盛り上がり、ライブドア事件で一気に規制的な動きになる。

白か黒か的な発想だとどうしてもそうなります。

経済も成長重視か再建中止かに割れており、
その妥協を探る動きはあの自民党でも少ないようです。

そして、その典型として最近出てきるのが派遣に関する規制。
派遣が出来、範囲が広がり、使用可能な年数が増えるという規制緩和の流れが
最近続いていました。
私自身1998年〜1999年に派遣を経験したことがありますが、
当時は職種も限られている上に、スキル的な制約も多少今よりありましたし、
普及も少なかったのですが、今は当時の10倍ぐらいの市場になっているようです。

元々小泉政権で行ってきた規制緩和のひずみが出ているのですが、
グッドウィルに代表される違法派遣の問題で今規制緩和に進んでいます。

ワーキングプアの問題はその人の問題(能力ややる気など)もあるので、
安易に雇用安定重視にふれるのもどうかと思います。
そもそもは派遣の問題ではなく、公平な教育(金銭負担も含めて)や
雇用機会の均等など政策の課題のように思いますが、
派遣が格差の象徴のようになぜか言われています。
(派遣を経験すればわかりますが、派遣も能力により待遇は大きく変わります。
 優秀な人はひっぱりだこです。
 紹介予定派遣のように認められれば雇用の機会もあります。
 企業も派遣は離職のリスクがあるため、優秀な人材に関しては
 なるだけ正社員に転換しようとするものです。
 今派遣は売り手市場ですからね。)

それはおいておいて、だから派遣を一気に規制しようという動きはどうかと思います。
各党の施策を見ていると、それは逆に格差を生むんじゃないかという施策もあります。

例えば
・紹介予定派遣の廃止。
 →これがなくなったら派遣が増えるだけで、正社員登用は増えないでしょう。
・日雇い派遣の極端な制限。
 →イベント要員や季節的な仕事は社員が死にそうになりながらやらないといけなくなるだけで、
  雇用は増えないでしょう。(日雇いだから使うということもあります。)
・派遣の職種制限
 →これは勤労の自由には反すると思います。
  私が派遣希望の人の面接をしていると、「正社員が嫌だから派遣」という人も結構いて、
  そういう考えの人は大抵特殊なスキルがいる仕事ではないことが多いです。
 →おそらくアルバイトが増えるだけで、企業にとってアルバイトを探し面接する労力が増えますし、
  短期の勤務可能者を探す場合は不便です。

派遣の期間を1年に戻すとか、日雇い派遣に関してルールを決めるのはやるべきです。
実態として日雇いでないのに日雇い的な仕事をしているところは多いと思いますので。
→もし派遣の期間を1年にするなら、1年後に採用する場合、派遣会社に紹介手数料を
 支払わなくてよいなどの制限を逆に設けると、企業も直接雇用しやすくなりますし、
 今回の問題解決にもいいと思います。

マージンの明文化もいいでしょうね。
これは派遣会社にとっても価格競争を防げるメリットがあります。
雇用する企業も社員にとってもいいでしょう。

いずれにしても「プラス100が駄目だからマイナス100」という施策は
安易に行うべきではなく、極端な施策は景気の低迷や
雇用の喪失など計り知れない問題を生むように思います。
(黒人が貧しいから白人から土地を奪って、
 結果的に黒人も損したジンバブエみたいになります。)

ちなみに弊社は派遣の方も1人〜3人程度最近はいて、
契約社員・アルバイトもいますが、その人たちはほとんどが個人の希望によるものです。
他は正社員ですね。