(続き)・・さてその紫外線とは、いったいどういう物なのでしょうか。太陽から地上に降り注ぐ光線には様々な長さの「波長」があり、その長さによっていくつかに分類されています。人の目に見える可視光線よりも波長の短い光線が紫外線です。人の目には見えませんがエネルギーが強く、いろいろな作用をもたらします。
その紫外線も波長によって、さらに3つに分類されます。可視光線に近い、一番波長の長いものをUV-A、中間のものをUV-B,一番波長の短いものをUV-Cと呼びます。このうちUV-Cはたいへんエネルギーが強くて有害な作用がありますが、幸いなことに上空のオゾン層によって殆んど吸収されて地上には届きません
UV-AとUV-Bはオゾン層で吸収し切れずに地上に届きますが、波長の短いUV-BはUV-Aより遥かにエネルギーが強いため、紫外線による障害はその殆んどがUV-Bによるとされています。紫外線対策イコールUV-B対策、と言っても過言ではないのです。
ところでUV-Cは殆んど地上には届かないと言いましたが、それも最近は怪しくなってきました。それは「オゾンホール」の存在です。上空にあるオゾン層はフロンガスなどの影響で年々薄くなり、南極近くなど一部ではオゾン層が殆んどない場所が散在しています。それによってUV-Cも含む紫外線照射量が増えてきています。
さてUV-Bを主体とした紫外線に過量に暴露された場合、様々な影響が皮膚などにもたらされます。まず日焼けに関してですが、これにはたいへん大きな人種差や個人差がみられます。つまり日焼けする程度によって、大きく3つのスキンタイプに分類されます。これは主として表皮内のメラニン(色素)細胞の働きの差によります
スキンタイプ1型は色白なタイプで、日焼け直後は赤くヒリヒリした感じになり、その後あまり黒くなりません。メラニンを作る能力がもともと低い人で、白人に圧倒的に多く、日本人の17~18%がこのタイプだと言われています。一番日焼けを苦手とし、できれば日焼けを避けようとするのはこのグループです。
逆に日焼け直後はあまり赤くならずに、日を追うごとにどんどん黒くなるのがスキンタイプ3型です。メラニンを作る能力がもともと高い人で、黒人の大半を占め、日本人の13~14%がこのタイプです。良い意味で日焼けしやすく、日焼けに対して最も肯定的な感覚をもつグループといえます。
その中間に当たるスキンタイプ2は、日焼けした直後はほどほどに赤くなり、数日後はほどほどに褐色になるグループで、日本人の約70%を占めています。小麦色にほんのり焼けるといったイメージで、日焼けに対してはタイプ1とタイプ3の中間的なイメージを持っているといえます。
日焼けによる障害にはタイプによる差が大きく、上記のスキンタイプ1ではより深刻な影響が現れやすく、特に気をつけなければなりません。一方で黒くなりやすいタイプ3では比較的軽微な影響に留まる傾向がありますが、中間的なタイプ2も含めて、油断してケアを怠ると取り返しのつかない事態を招くこともあるので注意が必要です・・(続く)
このコラムの執筆専門家

- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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