- 今林 浩一郎
- 今林国際法務行政書士事務所 代表者
- 東京都
- 行政書士
対象:労働問題・仕事の法律
弁護士法58条1項は 「何人も、弁護士又は 弁護士法人について懲戒の事由があると思料するときは、その事由の説明を添えて、その弁護士又は弁護士法人の所属弁護士会にこれを懲戒することを求めることができる」と規定しており、誰でも(たとえ第三者でも)弁 護士の懲戒を当該弁護士の所属する弁護士会に請求(http://www.nichibenren.or.jp/ja/autonomy/tyoukai.html参照)できます。
この点に関し、弁護士法56条1項は「弁護士及び弁護士法人は、この法律又は所属弁護士会若しくは日本弁護士連合会の会則に違反し、所属弁護士会の秩序又は信用を害し、その他職務の内外を問わずその品位を失うべき非行があったときは、懲戒を受ける」規定します。ここに規定される弁護士懲戒事由を大きく2つに分類すると、弁護士法違反と弁護士倫理違反です。例えば、弁護士法違反では、職務上得た秘密の漏洩(同法23条)、職務を行い得ない事件の受任(同法25条)、利益供与(同法26条)及び非弁提携(同法27条)等です。一方、弁護士倫理違反は、過度の飲酒、暴言、侮辱、訴訟手続の懈怠及び遅延、不当報酬請求、訴訟書類への虚偽記載、弁護士会からの呼出に応じないこと及びセクハラ等です。懲戒処分の種類は、戒告、2年以内の業務停止、退会命令及び除名の4種類です(退会命令は、弁護士が身分を失い、弁護士活動ができなくなるが、弁護士の資格は失わない処分。一方、除名は、弁護士が身分を失い、弁護士活動ができなくなるだけでなく、3年間は弁護士資格も失う処分、なお、実際に弁護士会により行われた具体的懲戒事例は(http://blogs.yahoo.co.jp/nb_ichii/folder/916682.html)を参照)。たとえ一カ月でも業務停止処分を受けた弁護士は、その間弁護士業務ができなくなるので弁護士会の役職や顧問提携の地位は一度喪失します。また、戒告を受けた弁護士は、将来的に弁護士会の役職に選任される場合に不利になることがあります。
一度、弁護士会が弁護士懲戒請求を受理すると綱紀委員会にかけます。綱紀委員会は弁護士に懲戒相当事由があると判断すると、事件を懲戒委員会に回します。懲戒委員会では、どの程度の懲戒処分が相当かを決定します。綱紀委員会又は懲戒委員会の処分が遅延している場合には、請求人は日本弁護士連合会に「相当期間内に処分がなされない」ことに対し、異議を申し立てることができます(目安は8カ月程度,当該弁護士が民事訴訟で訴えられている場合等は民事訴訟の結果を待って結論を出す場合があります。また、添付資料や追加懲戒請求等が順次提出されると再検討の時間を要するので、遅延することがあります。)。また、各弁護士会の処分に不服がある場合(例えば、処分が軽い等)も、日本弁護士連合会に異議を申し立てることができます。
このコラムに類似したコラム
3分で読める!社労士コラム ~労使のバランス・オブ・パワー~第4回(給料) 中尾 恭之 - 社会保険労務士事務所レリーフ(2022/04/28 16:42)
3分で読める!社労士コラム ~労使のバランス・オブ・パワー~第3回(就業規則) 中尾 恭之 - 社会保険労務士事務所レリーフ(2022/04/28 16:40)
不当解雇の問題は、勝ちやすい 鬼沢 健士 - 弁護士(2014/09/24 15:02)
労働紛争の裁判外解決手続(ADR) 村田 英幸 - 弁護士(2013/11/25 03:30)
均等法に基づく紛争調整委員会による調停など 村田 英幸 - 弁護士(2013/11/24 15:51)