職場でメンタルヘルス不調者がでると、とかく社員の意識はその人の仕事の負荷や進め方、能力や性格、または家庭などの個人的な要因に意識が向いてしまうことが多くあります。しかし、個人的な要因がきっかけとなることはあるものの、すべてそのことで納得してしまうと不調者が出やすい環境となってしまいます。
なぜなら、個人的な要因だけではなく、その人を取り巻く職場環境や職場風土がどのようになっているかという背景がとても重要となります。メンタルヘルス不調者が出やすい職場環境の場合、個人的な要因が重なることで不調者が増加する傾向があります。
例えば、職場風土や職場のコミュニケーションがどのようになっているかを見ていくことが必要です。具体的に職場風土やコミュニケーションがどのようにメンタルヘルスに影響しているかを見ていきましょう。
財団法人社会経済生産性本部「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査(2006年)では、「コミュニケーションの機会」が減少した企業では、「心の病が増加した割合」が71.8%に上り、「減少していない企業」では、46.0%に止まっております。その差は25.8ポイントと有意な差があります。また、「職場の助け合い」が減少した企業では、「心の病が増加した割合」が72.0%に上り、「減少していない企業」では、51.4%に止まり、その差も20.6ポイントと有意な差となっています。
さらに2008年に行った調査では、「人を育てる余裕が職場になくなってきている」「組織・職場とのつながりを感じにくくなってきている」「仕事の全体像や意味を考える余裕が、職場になくなってきている」と回答している企業ほど、心の病が増加した割合が顕著に高まっています。
このように、コミュニケーションの機会や職場の助け合いが減少していたり、さらには仕事の意味や職場との関わり、人を育てる余裕などの職場環境や職場風土がメンタルヘルスにとって、とても大切な視点となります。先ずは職場として、話しやすい、意見が言いやすい、必要な情報が流れる、話を聞いてくれる、困ったことが起こったら相談に乗ってくれる、助けてくれる、人を育てるなどの雰囲気があるという土壌に加え、そもそも人を大切にするというマインドが備わっている職場なのかということが重要ではないかと思います。
このコラムの執筆専門家
- 見波 利幸
- (東京都 / 主席研究員)
- 主席研究員
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