- 吉野 充巨
- オフィスマイエフ・ピー 代表
- 東京都
- ファイナンシャルプランナー
対象:お金と資産の運用
★前頁をを踏まえた、今後の日本国債とその金利の可能性高いストーリーは、
● デフォルトの可能性は当面低い
国債は期日が来れば償還が必要です。また、毎回の利払いも行われます。デフォルトとは利払いが出来なくなる、
期日が来ても償還が出来ないこと等を指します。
政府がこれを避けるには、新たな国債を発行する、増税で利払いや償還の原資を用意することが出来ます。
また国有財産の売却(埋蔵金を施策に回すことはこれと同様です)という手段もあり、これらの施策
により、10年単位の先延ばしが可能と考えています。
その前に、大増税という可能性は極めて高く、重税には苦しみますがデフォルトにはならないと考えます。
⇒増税分は国債等償還に使用され、施策にまわす余裕は無くなることも有ります。現にアイルランドは全国民に
理解を得て、この施策を実行中です。
● 日本国債の利率が上昇する可能性は極めて高い。(4月30日現在の10年国債の利率は1.280%)
・利率が上がる要因の一つは、国債等の債権残高が1000兆円を超え、海外の投資家に購入してもらわないと消
化できなくなった状況で金利が上昇。現在世界で最も安全な債券とされる米国債の10年国債の金利は、3.659%で
すので、目処として3.0~4.0%程度に上昇ことが考えられます。5%まではお考えください。
・一方、日本国債の格付けが下がった際に金利の上昇が予想されます。既にS&Pも引き下げの可能性を表明して
います。そのS&Pの現在の格付けはアイルランドと同じAAです。一段階下のA+はイタリア、中国と同等、Aは韓国
になります。それらの国々に比べ日本の債務超過は突出していますからと格下げは当然と思われます。この場合に
は、投資家に販売するには、当初プラス1.0%程度の利上げが必要と思われます。ただ、国内での消化が難しくなれば、海
外に販売しますから、当然利率はそれ以上に上昇します。
※国債の金利が上昇すれば、現在の国債の市中価格は低下します。金利と価額の関係は金利の上昇=国債の価
格低下、金利の低下=国債価格の上昇の関係に有ります。
例えば、現在額面100万円、利率が1.280%の10年国債の例で、大まかな試算をしますと、
現時点で購入すると、10年間の利子が12.8万円+償還時には100万円が返って来ます。
もし、此処で2%金利が上昇した場合に、この国債を購入したいと考えると、あと20万円分のリターンを必要とします、
雑駁には当該国債を80万円で購入すれば、複利運用での損得がなくなります。現実には、将来もっと金利が上昇するのではないかと考えて、80万円未満で購入する投資家が増えるものと考えます。
時価会計での評価損を考えると、現在の資産から20%ダウンした額面80万円で評価し、20万円の評価損が出ます。実際の時価評価は市中での売買価格で評価いたします。(郵貯銀行はこの損失に怯えているとの記事が有りました)
※国内で一番安全とされる国債の利率が上昇しますと、他の金融資産の利率も金利を反映し価格が上下します。株価は低下、預金金利は上昇します。
最も我々に影響のあるものはローンの金利です。現在3,000万円を元利均等払い35年返済、変動金利を5年間2%で借り入れていて、5年後に4%に上昇すると、毎月の返済額は99,378円から128,361円に増加、差は28,983円=年間347,796円も増加し家計を直撃します。そして2%上昇ではなく3%上昇すれば返済額は144,334円になり、差額は44,956円=年間539,472円の増加です。
★我々一般投資家の資産運用として、考えられることは
1.借入は固定金利をお勧めします。
金利は将来変動する(高くなる)可能性が高いものと思われます。金利変動リスクに備えが必要ではないでしょうか。
2.国債などの債券購入は、固定であれば短期のもの、又は変動金利の国債をお勧めします。
前述しました通り、長期間固定金利の金融商品は、金利変動による価格変動を抱えています。これを避けるため、定期預金であれば、1年定期、利付国債及び事業債も短期間のものをお勧めします。金利が高くなったときに長期固定金利の商品を購
入することが、有利な投資です。
3.長期的な資産運用として、債券のインデックスファンドの毎月積立は有効な方法と考えています。
金利変動で短期的には損失が出ますが、その後に高金利債券の購入を継続すると運用成績は上昇を始めます。
ファンド内で債券の償還・購入が継続されることで、長期的な金利上昇の利益が得られます。
4.資産配分の見直しをお勧めします。
国内債券の比率を下げ、定期預金に振替えては如何でしょう(現状は利率には差が小さい)。また、株と債券の
相関から、株式の保有を増やすことも視野に入れた見直しも有効と思われます。
文責 吉野充巨
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