- 平野 雅章
- 横浜FP事務所 代表
- 神奈川県
- ファイナンシャルプランナー
対象:教育資金・教育ローン
学資保険は、様々な保障がついている為、支払った保険料に対し戻ってくる満期金が少なくなるという商品が多いという点はかなり知られてきています。支払った保険料を満期金が上回る商品は数えるほどしかないので、学費を貯めるのが目的でしたら、上回る商品をキチンと選びましょうということになりますが、一方、ここ数年、様々な保険会社や代理店で”低解約返戻金型終身保険”あるいは”低解約返戻金型定期保険”を、学資保険の代わりに使うという提案が流行っています。
低解約返戻金型とは保険料支払期間中の解約返戻金を通常の終身保険、あるいは定期保険の7割程度に抑えたタイプで、保険料が割安になります。保険料払込期間が終了した後は、解約返戻金の払込保険料に対する比率(解約返戻率)が通常の終身・定期保険より高くなるので、これを利用して10年や15年で保険料を払い込む設計にすると、10・15年経過後には払い込んだ保険料より解約返戻金をけっこう増やすことができます。払い込む年数を子どもが大学に入るまでの年数にあわせ、途中解約して解約返戻金を受け取れば、学資保険代わりに使うことができるという提案なのです。
まずは、この提案のメリットを挙げてみます。
利回りですが、或る人気の高い低解約返戻金型終身保険を例に取ってみます。
被保険者: 父親 32歳
保険料支払期間: 15年
死亡保障金額:200万円
保険料: 月6,508円
支払った保険料の総額は1,171,440円ですが、保険料の支払が終わった翌月に解約すると約125万円ほどの解約返戻金が受け取れます。これは、年利回りに換算すると約0.87%になります(半年複利と想定した場合)。
ネット銀行の定期預金で、同程度か若干上回る金利水準も見られますが、定期預金では金利から20%が税金として差し引かれます。1.0%の利率でも実質は0.8%になってしまう訳です。一方、生命保険の解約返戻金は所得税の一時所得という扱いになり、受け取った解約返戻金から支払保険料を差し引いた金額が50万円以下ならば税金が掛からないというメリットがあります。上の例では約125万円-約117万円=約8万円ですから、もちろん税金は掛かりません。(学資保険の満期金も同様の扱いです。)
また、そもそも生命保険なので死亡保障があります。学資保険でも実質的な死亡保障がありますが、契約者が亡くなった場合、以降保険料を払わなくても予定通りの満期金が支給されるという内容で、低解約返戻金型終身保険や定期保険の死亡保障の金額よりかなり少ないのが普通です。
他の生命保険と一緒に死亡保障額の見直しをして、他の生命保険の死亡保障金額を少なくできれば、低解約返戻金型の死亡保障の大きさを金銭的メリットに置き換えることもできますね。
ここまで書くと良いことづくめのようですが、実は実際の商品選びや金額設定に関し注意が必要な保険だと私は思っています。デメリットについては、「学資保険代わりに低解約返戻金型保険を活用すデメリット」をご覧下さい。
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