(3) 会社 対 第三者 の利害調整 [ 債権者保護手続き ]
(2)の分割計画書に基き、第三者(債権者)との権利・義務調整に入ります。
実際、会社分割実務上この債権者保護手続に多くの手間・時間・コストがかかってくるのですが、A社の場合、美容系の店舗という業態から取引先はほとんどが一般個人顧客であり、仕入れもすべて現金取引で売掛(債権)・買掛(債務)ともに発生せず、営業取引上具体的に保護手続きを要する債権者は存在しません。 また営業以外の部分でも移転候補となる権利・義務は
[1] 金融機関( → 金銭消費貸借契約)
[2] 不動産会社( → X店の店舗賃貸借契約)
の2つといたってシンプルな構図です。
しかも[1]については分割対象となる店舗Xとリンクした借入ではないためA社全体の借入と位置付け、分割計画書で移転する債務の対象からはずします。
このように、「会社分割」ではおいしいところだけ
つまみ食い
で債権・債務の移転を決めることができる点は、同じ組織再編スキームである「合併」との比較において大きな相違点です。 一方「合併」はこのようなわがままは許してくれず、おいしくない部分も全部まるごと移さなければなりません。 今問題になっている外資による大企業向けの敵対的買収もおそらく再編ツールとして
(三角吸収)「合併」
ではなく
(三角吸収)「分割」
つまり「会社分割」を使ってくるものと思われます。 後者は「おいしい」ところだけ持っていけるわけですから…
(次回へ続く)
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