- 河野 英仁
- 河野特許事務所 弁理士
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対象:企業法務
- 尾上 雅典
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- 河野 英仁
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〜延長期間の計算方法について明確な基準が判示される〜(第4回)
河野特許事務所 2010年3月23日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Wyeth and Elan Pharma International Limited,
Plaintiffs- Appellees,
v.
David J. Kappos,
Defendant- Appellant.
3.CAFCでの争点
重複した場合A遅延とB遅延とのいずれか長い方の遅延を用いるのが適切か?
892特許に関し、USPTOは610日のA遅延、345日のB遅延を引き起こした。参考図1は、892特許の審査状況を示す説明図である。A遅延の610日の内、51日は出願後3年経過後に生じた。一方、審査過程において、出願人は自身の遅延により148日遅延を引き起こした。
参考図1 892特許の審査状況を示す説明図
ここで、USPTOはA遅延とB遅延とが重複する場合、いずれか長い方が計算に用いられると判断した。
そして遅延期間を
長い方のA遅延610日−出願人遅延148日=462日
と計算した。
一方、原告はB遅延の重複は出願から3年経過後のみを考慮すべきであると主張し、遅延期間を、
A遅延610日+B遅延345日−3年経過後遅延51日−出願人遅延148日=756日
と計算した。
また、819特許に関し、USPTOは336日のA遅延、827日のB遅延を引き起こした。A遅延の336日の内、106日は出願後3年経過後に生じた。なお出願人自身の行為に起因する遅延は335日である。
USPTOの計算方法に基づけば、遅延期間は、
長い方のB遅延827日−出願人遅延335日=492日となる。
原告の計算方法に基づけば、遅延期間は、
A遅延336日+B遅延827日−3年経過後遅延106日−出願人遅延335日=722日
となる。
米国特許法第154条に規定する期間延長は、USPTOの主張する方法により計算されるのか、原告主張の方法により計算されるのかが問題となった。
(第5回へ続く)
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