特許権存続期間の調整規定の解釈(第2回) - 企業法務全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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特許権存続期間の調整規定の解釈(第2回)

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   米国特許判例紹介:特許権存続期間の調整規定の解釈
   〜延長期間の計算方法について明確な基準が判示される〜(第2回) 
   河野特許事務所 2010年3月16日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Wyeth and Elan Pharma International Limited,
              Plaintiffs- Appellees,
                 v.
               David J. Kappos,
               Defendant- Appellant.

2.背景
 特許権の存続期間は、出願日から20年と米国特許法第154条(a)に規定されている。審査の遅延に伴う特許権存続期間を権利者に保証すべく、米国特許法第154条(b)が新設された。米国特許法第154条(b)の規定は以下のとおりである。

米国特許法第154条(b)(1)
(b) 特許存続期間の調整
(1) 特許存続期間についての保証
(A) 特許商標庁による迅速な応答の保証
(2)に基づく制限に従うことを条件として,原特許の発行が特許商標庁による次の行為の不履行のために遅延した場合は,その特許の存続期間は,個々の事情に応じ,(i),(ii),(iii)又は(iv)に規定した期間の終了から当該各段落に記載した措置が取られるまでの各1日につき1日延長される。
(i) 第132条に基づく通知の内の少なくとも1,又は第151条に基づく許可通知を,次の日から14月以内に与えること
(I) 第111条(a)に基づいて出願がされた日,又は
(II) 国際出願が第371条の要件を満たした日
(ii) 第132条に基づく返答,又は第134条に基づいてされた審判請求に対し,当該返答が提出された又は当該審判請求が行われた日の翌日から4月以内に応答すること
(iii) 許可することができるクレームが出願中に残存している場合において,第134条若しくは第135条に基づく特許審判インターフェアレンス部の決定又は第141条,第145条若しくは第146条に基づく連邦裁判所の決定の日の翌日から4月以内に,出願に関して行為すること,又は
(iv) 第151条に基づいて発行手数料が納付され,かつ,他の全ての未解決要件が満たされた日の翌日から4月以内に特許を発行すること
(B) 出願係属期間3年以下の保証
(2)に基づく制限に従うことを条件として,原特許の発行が,合衆国特許商標庁が合衆国における出願の実際の出願日から,次の事項を含めずに,3年以内に特許を発行しなかったために遅延した場合は,その特許の存続期間は,当該3年期間の終了から特許が発行されるまでの各1日につき1日延長される。
(i) 出願人が第132条(b)に基づいて請求する出願の継続審査によって消費された時間
(ii) 第135条(a)に基づく手続によって消費された時間,第181条に基づく命令の賦課によって消費された時間又は特許審判インターフェアレンス部若しくは連邦裁判所による審判請求・上訴の再審理によって消費された時間,又は
(iii) (3)(C)によって許可される場合を除き,出願人の請求に基づく合衆国特許商標庁による出願処理の延期
(C) インターフェアレンス,秘密保持命令及び審判請求・上訴による遅延に関連する保証又は調整
(2)に基づく制限に従うことを条件として,原特許証の発行が次の事項の何れかのために遅延した場合は,その特許の存続期間は,手続,命令又は場合により再審理の係属の日各1日につき1日延長される。
(i) 第135条(a)に基づく手続
(ii) 第181条に基づく命令の賦課,又は
(iii) 特許性を否定する裁決を覆す再審理における決定に基づいて特許証が発行された場合における特許審判インターフェアレンス部又は連邦裁判所による審判請求・上訴の再審理
(2) 制限
(A) 一般
(1)に定めた理由に起因する遅延期間が重複する場合は,本項に基づいて与えられる調整期間は,特許発行が遅延した実際の日数を超えないものとする。


                                   (第3回へ続く)

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