ホステスの源泉徴収で、最高裁、納税者逆転勝訴判決 - 会計・経理全般 - 専門家プロファイル

平 仁
ABC税理士法人 税理士
東京都
税理士
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ホステスの源泉徴収で、最高裁、納税者逆転勝訴判決

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発表 実務に役立つ判例紹介
ホステスの所得税を源泉徴収する際に報酬から差し引く控除の対象となる
期間の計算について、2日、最高裁第3小法廷で注目の判決が下された。
2日19時35分共同通信社記事はこう報じた。

ホステスの所得税を源泉徴収する際、報酬から差し引くことができる
控除の対象は実際の勤務日数だけか、出勤しない日も含むのかが争われた
訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は2日、「勤務日数ではなく、
期間中のすべての日数を指すと解釈すべきだ」との初判断を示し、審理を
東京高裁に差し戻した。田原睦夫裁判長は「『期間』とは初日から末日まで
と解釈するのが相当」と指摘した。


ホステスの源泉徴収の計算方法はちょっと特殊で、報酬総額から
「政令で定める金額」を控除した残額の10%が源泉税額になっています。
「政令で定める金額」は、1人に対して1回に支払われる金額に対して、
5000円に「支払い対象期間の日数」を乗じて計算することになっています。
訴訟で問題になったのが「支払い対象期間の日数」の内容でした。

この事件の原告は1〜15日、16日〜月末の2回に分けてホステスに
報酬を支払っているのですが、最高裁は、「原審のような解釈を採ることは、
…文言上困難であるのみならず、ホステス報酬に係る源泉徴収制度において
基礎控除方式が採られた趣旨は、できる限り源泉所得税額に係る手数を
省くことにあったことが、立法担当者の説明等からうかがわれるところ
であり、この点からみても、原審のような解釈は採用し難い。」と判断して、
納付すべき税額等を算定させるために高裁に差し戻した。

差し戻し高裁では事実認定のやり直しはないことから、原告の逆転勝訴が
確定した。原告の計算方式が正しかったことが、最高裁で確認されたのだ。
条文上「期間の日数」である以上、正当な判断であろう。
課税当局の見解は「期間における実働日数」としなければならず、法改正を
怠ってきたツケを払わされる結果になったと言えると思いますね。