
- 伊藤 弘輝
- 研修講師
対象:人材育成
静岡空港を運営する静岡県に、去る2月8日にANAが公式に憤りを
ぶつけた。その内容は、3月末での静岡空港の撤退を表明した
JALに対して「覚書」を遂行していないにもかかわらず静岡県が
約8000万円の県費を投じるからである。
撤退の決定した特定航空会社の特定路線に2-3月だけの期間限定
とはいえ「搭乗率保証金」という直接に近い公費を投下するのは公平、
公正な競争を排除するもので正直者がバカをみることになりかねない。
というのがANAの意義の内容である。
そもそも静岡県は空港開港準備室を開港5年以上前の2003年ごろから
設立させ大きな予算を立てて国内外問わず様々な活動を行ってきた。
大手企業を多く抱える全国上位の「富裕県」なだけに開港への資金の
活用はなかなか「派手」だったという記憶もあるが、それにも増して
「JALの就航ありき」からスタートした静岡県は静岡空港会社自体にも
JAL関係者を迎えるなど、その「えこひいき」がJALの破綻とともに
今になって裏目に出たとも言える。
このような「まあまあ、なあなあ、親方日の丸」なやり方は既に
行き詰まりを迎えており、結果的に日本の航空行政の遅れや
航空会社の競争力の退化を招いたのである。
粛々と路線収支計画に基づき就航させたANAや他の航空会社は
今回の施策で「堪忍袋」の緒が切れたのであろう。
この際、法律の改正をして競争力のある一大ナショナルフラッグ
を作ってみたらどうであろうか。
【静岡空港JAL優遇に見る改善すべき旧態・・】
航空業界エキスパート 伊藤 弘輝 www.itohiroki.com